高橋由太著「猫は仕事人」

【あらすじ(終盤までのネタバレ有り)】
化け猫まるは、妖怪社会の仕置きを行う「仕事人」を引退し、普通の猫の振りをして暮らしていた。ある日、後輩化け猫と飼い主が、悪党に騙され不幸の内に亡くなった。かつての仕事人仲間たちは敵討ちに立ち上がり、そんな仲間の危機を救うため、不殺の誓いを立てていたまるも、もう一度仕置きを行う。

可愛らしい表紙に似合わない、「必殺仕事人」の昏く凄惨な展開ままの構成。
裏表紙解説には「痛快シリーズ」と銘打ってあったのですが、仕置きをするまでの事件の内容が酷いし、報われる善人がいないので、下手人が殺されるだけではスカッとできませんでした。人を殺しても誰も救われない、ということを示唆しようとしていたなら、成功しています。

化け猫という設定が、思ったほど活きていない気がしました。もっと猫らしく軒下で情報収集したり、独自の仕置きをするのかと期待していました。ほとんど人間たちの物語で終始していたので、それぞれ猫を飼い主に置き換えるだけで済む話だと思いました。
猫たちの暮らしや、飼い主の職業についての語り、ぬらりひょんが好々爺として人間にまぎれているなど、設定部分は目を引いただけに、残念でした。

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