広谷鏡子著「湘南シェアハウス」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
作家の夏都は、相続した江ノ島の家とアパートを改装し、担当編集者や友人、ファンなど三十代から七十代の女五人で共同生活を始める。それぞれの事情を吐露しつつ、一人ではない理想の暮らしを見出だしていく。

狙ったわけではないけれど、縁があってシェアハウス小説が連続しました(2016年12月21日記事参照)。

「老後は仲のいい友達同士で暮らしたい」と思ったことがある女性は、共感しながら読めると思います。全体的に、同性の気楽な仲良しぶりが面白かったです。
女の園だと陰湿な喧嘩が起こるのでは、と密かに不安視していたのですが、年齢に幅があるためか、それほど大きなトラブルは起きません。男女の間でも普通にありそうな価値観の違いによる揉め事程度でした。アパート内の住人で、恋愛が絡まないのが良かったのかもしれません。

ただし、後半は話がとっ散らかっているような気がしました。特に、別視点のエピソードを挿入する必要性を感じられませんでした。もともと、全体的に夏都視点で固定されてもいないので、なぜあんな読み難い作りにしたのか疑問です。
また、リアリティはほとんど感じません。あくまで、想像上の楽しい生活という印象です。終盤に「若い男の子」を入居させるのですが、この辺はオバサマらしい発想と感じたりしました。

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