高尾慶子著「イギリス人はおかしい 日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔」

日本人がイギリスに対して抱きがちな、妙な親近感と憧れを打ち砕くエッセイ。

「労働階級から見たイギリス」という切り口は意外と新鮮です。保守党から労働党に政権交代したときの時局などは、勉強になりました。
ズケスケと自分の思うところを言いたい放題するところは、痛快でもあります。
ただし、リドリー・スコット監督のハウスキーパー時代の話が多いため、「暴露本」の側面を含んでいることや、借金を返さない女性や警官とのやりとりなど、少々下品に感じる部分もありました。
筆者は、著書を通して日本人が抱く英国紳士の夢を砕き、自身の言動を通して西洋人男性が抱く大和撫子の夢を砕いているわけですね。

監督の御母堂と宝塚ロンドン公演を観劇し、宝塚歌劇団の実力を絶賛されるくだりは、一ファンとしてむず痒い気持ちになりました。
当時の精鋭を全組から集めたプレミア公演だったので、決して過剰な評価ではないと思うけれど……。この頃のような、「凄い公演」を今の歌劇団でできるものかな、と少し考えさせられます。

コメント

  • コメントはまだありません。

コメント登録

  • コメントを入力してください。
登録フォーム
名前
メール
URL
コメント
閲覧制限
投稿キー
(スパム対策に 投稿キー を半角で入力してください)