徳川宗英著「徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話」

田安徳川家の当主が語る、徳川家康以降の一族の逸話。

正直「タイトルに偽りあり」です。
筆者自身が、子々孫々と伝わるものでないと断っている通り、将軍たちにまつわるエピソードは、他の文献で知ることができる話です。8割くらいは、歴史好きならどこかで聞いた話だな、と思う話です。松平定信が京伝のファンでサインを貰っていた、という話などは知らなくて「へー」と笑っちゃいましたが。
徳川慶喜より後の、将軍にならなかった人々の話は、さすがに知らないエピソードが揃っていましたが、それを読みたくて本書を手にしたわけではないのです。

子孫の立場から、ご先祖様の偉業や恥部に関する感想をまとめた本と見れば、それなりに味があります。決して徳川万歳という姿勢ではなく、あくまで「先祖なので身贔屓してしまうが」というスタンスな筆者の人柄は好ましかったです。
真摯に、わかりやすく書かれているので、江戸時代に対する知識を深めたい方には良い入門本です。
それゆえに、有名人の秘話が読めると期待させて裏切るタイトルは、望ましくなかったと残念に思います。

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