関川夏央著「中年シングル生活」

独身中年男性(離婚歴あり)の日々を描いた作品。
主人公は「作家の関川」なので、当然エッセイだと思って読んでいたのですが、巻末対談に至ると筆者が本書についてこう語るので、脱力しました。

一見、私小説みたいに見えるけれども、なるたけそうはならないように努力した
『文庫版あとがきにかえて S君の「物語」 阿川佐和子VS.関川夏央』より

もっとも個人的には、創作だという発言も格好付けのような気がします。

そんな煮え切らない「関川」本人の有り様を筆頭に、出版界の独り者について語ったり、漱石、鴎外、一葉といった文豪の言を紐解いて進みます。
不幸というわけでも、かといって幸福というわけでもなく、漠たる不安や決意と共に過ごす暮らしぶりは、正直身につまされるところもありました。特に、独身でいることは信念ではなく、身に染み付いた生活の癖だという分析には、まったくその通りだと思います。

1990年代に書かれた本なので、少々時代は古いですが、独身男性の思考を「わからない」と思う感覚も含めて知ることができました。
筆者が期待しているようなユーモアを感じるかどうかは、また別かな。

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