増田俊也著「七帝柔道記」

【あらすじ】
増田俊也は、旧帝大で行われるという寝技至上の特殊な柔道「七帝柔道」に惹かれ、二浪の末、北海道大学柔道部に入部した。だが「練習量が全てを決定する」と言われる七帝柔道の世界では、人としての尊厳を失うような過酷な練習が繰り広げられていた。

文庫で600ページ強という、かなり分厚い一冊。その密度で、入学から2回生の夏までが描かれています。

解説で語られているように、私も「こんな世界が実在するのか!?」と思いつつ読んだのですが、作者の実体験に基づくお話だそうです。
部活モノですが、表紙イラストに描かれているような、明るく爽やかな日々は待っていません。壮絶です。そして進むほど、重苦しく辛い日々になっていく感があります。意識を失ったり、大怪我をするほどの練習を積んでも、試合で奇跡が起こることはなく、結末ですら沢田征次が退部するだろう暗い未来が暗示されています。

しかし苦しみ続けても主人公が退部しなかったのと同じように、強い吸引力があり、一気に読みました。報われることもないのに、爽やかさと達成感もあり、読後感が良かったのは不思議です。

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