須藤靖貴著「俺はどしゃぶり」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
母校に赴任した高校教師・吾郎は、大学時代に没頭したアメフト部を創立する。肥満児や元球児など、運動に不向きな連中も、次第に激しい練習に没頭していく。試合は記録的大敗続きだが、初得点をネタに納会は大いに盛り上がる。

現代版「坊ちゃん」。
吾郎のキャラクターを楽しめるかどうかで、評価が変わると思われる作品。
私の場合は……残念ながら合いませんでした。
後先考えず、周囲に迷惑をかけて平気でいるのが納得できません。学生時代のバカっぷりを描いた後半の2作品は許容範囲でしたけれど、社会人、ましてや教育者がバカではいけないと思うのです。生徒のカンニングや飲酒を許容するのは、安易な媚びに感じます。放課後に質問に来る生徒たちについて「俺のところには生徒がこない」と開き直っているところから、部活以外の仕事に対する熱意もなくて不快でした。

そんな中でも面白かったのは、登場人物にニックネームが付けられているところ。人物は多いのですが、それぞれに由来があることで、一人一人に個性が出ていました。

また、部活内容は馴染みの薄いアメリカンフットボールものということで、用語の説明はありましたが、肝心のルールが飲み込めていないので、試合中なにをしているのかわかりませんでした。
試合描写を主体にした作品ではないから、このくらいの扱いでよかったのでしょうか。

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