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宝塚雪組「幕末太陽傳/Dramatic “S”!」11:00回。
人気絶頂のトップコンビ、早霧せいなと咲妃みゆの退団公演。

ミュージカル・コメディ「幕末太陽傳」

同名映画のミュージカル化。
長州藩士の異人館焼き討ちを縦軸に、遊郭を舞台とした色々な落語ネタが寄せ集まった作りと感じました。
品川宿を宝塚と見立てた退団を思わせる台詞があったり、結末は映画と変えて素直に応援できる形になっていたり、原作物なのに宛て書きになっていて、小柳先生の潤色は今回も冴えています。
その他、群像劇なのでたくさんの登場人物がいて、それぞれに見せ場もあって、宝塚の良さを活かした爽やかで粋な作品でした。

以下、印象に残ったキャスト評です。

佐平次@早霧せいなは病に侵された身ですが、本人も周囲もカラッと明るく、しぶとく生き抜く意欲に溢れています。相模屋の人々や長州藩士の間に、なんだかんだと首を突っ込んで愛され、飄々と通り抜けていく様は、役者本人のイメージにも被って見えました。
そして、おそめ@咲妃みゆが本当に芝居巧者。心中詐欺を起こしたりする迷惑な女郎なのに、なんだかんだ許せてしまう可愛さがあります。

「品川心中」を担当する金造@鳳翔大は、あれだけ笑いを取れるというのも貴重なところ。二枚目が三枚目役をしているから、安心して笑えるという要素もあると思います。
若旦那・徳三郎@彩風咲奈のダメ男感(笑)は、現実の男なら引っ叩きたくなるくらい酷いのですが、愛嬌で押し通していました。
また、専科の汝鳥伶悠真倫が、非常にピンポイントな使われ方をしていて、豪華なキャスティングだと思いました。

高杉晋作@望海風斗は安定して上手いし格好良かったけれど、役に収まりすぎている感があったかもしれません。できる人だと思うから、期待値を上げてしまうのですよね。
長州藩士の若手男役たちは、歌になるとちょっと何を言っているのかわかりにくい部分があり、もう一声頑張って欲しいところです。

Show Spirit!「Dramatic “S”!」

中村一徳先生らしい、平面の舞台に人海戦術でワッと盛り上げるショー。オープニングの派手さと、衣装の格好よさが好きです。
個人的には、1つくらいストーリー性の強い場面があると良かったかな、と思いますが、退団者への愛と配慮に溢れていて、公演日が残り少なくなるほどに盛り上がりそうです。

ロケットは初舞台生用の長い作りで、技術的にも見せ場がたくさんあって楽しかったです。ただ、倒立前転する箇所では帽子が邪魔になっていて危険だと思いました。たまには、ロケット衣装をシンプルにしてあげてもいいのでは。
シンプルといえば、男役群舞の黒燕尾もスパンコールなどの飾りなしにした方が、より格好いいと思っています。思い返せば、宙組「クライマックス」は全員スタンダードな燕尾服で、男役としての経験値でスターの格を魅せていたのが格好良かったのでした。

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