有吉佐和子著「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

短編「亀遊の死」を戯曲化した「ふるあめりかに袖はぬらさじ」と、同名短編を戯曲化した「華岡青洲の妻」の2本構成。

表題作は、戯曲のタイトルとして有名なので名前だけ知っていましたが、有吉先生の作ということを知らず、驚いたので読んでみました。
こういうお話だったのか、と面白く拝読。
花魁の恋も異人に見初められる話も、驚いたことにただの前振りなのですね。
お園の語る「亀遊の死」が粉飾されていく可笑しみと、幕末から明治へと時代が変わって、粉飾させた張本人である攘夷党の志士によって真実を暴かれ、事実すら消されていく哀しさが圧巻です。
これは是非、機会があれば実際の舞台も観てみたいと思いました。

「華岡青洲の妻」も、有名タイトルですが実は原作を読んでいません。なまじ、華岡青洲が何をした人か知っていると、怖い話が想像できたので避けていました。
実際に読み始めたら、先が気になって夢中で読みました。
ただし、舞台で見たいかと問われると疑問が残ります。登場人物に共感しにくいからかもしれません。本作はどちらかというと、原作小説でどんな風に描いていたのか読みたいです。
医学の進歩のために喰い潰されていく悲惨な一家なのに暗さはなく、嫁姑の戦いをこんな形でする方法があったんだな、と笑いました。

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