佐藤愛子著「戦いすんで日が暮れて」

男と女の仲を描いた、短編集。
表題作は第61回直木賞受賞作。直木賞は、エンターテイメント長編に与えられる賞だと思っていたので、少し驚きました。

全8編収録のうち、男性主人公の2編には多少愉快な部分もあったのですが、女性主人公のお話は、夫の倒産話含めて結婚の苦労が5編と、おいらくの恋の悲しみが1編、と夢も希望もない感じ。
女史たちの前向きなパワーは痛快な反面、読んでいると主人公たちの「怒り」に飲み込まれ、非常に疲れました。
これがユーモア小説、と評されるのを見ると、私はユーモアが欠けているとつくづく思いました。

新装版のあとがきが興味深かったです。
自分が過去に書いたものを後から読むと欠点が目につく、という気持ちも多少は理解できるけれど、私はどちらかと言えば女史の父親でもある作家・佐藤紅緑氏タイプで、自分が書いたものを面白く読める方です。作者からは「ヘンな人だなア」と思われるのだな、と思うとおかしかったです。

コメント

水輪

 私も自分が書いた話をだいたい面白く読める方です。勿論、拙さとかミスとか見つけて「あちゃー」とも思いますけど、やはり行間を想像しやすいし、なにより文体が好みなので読みやすいんですよね(笑)
 ただ、リアル知人には同業者(創作する人と言う意味で)以外には、見られたくないような恥ずかしさは感じますが、麻生さんはその辺どうですか?

麻生壱埜

水輪さんも「ヘンな人」カテゴリーで心強いです(笑)。
私も、文体とリズムかなと思います。基本的に、自分が心地よいリズムで書いているから、読んでも気持ちいいんですよね〜。

知人に読まれると気恥ずかしい気持ち、わかります。
この恥ずかしさは、同好の士に向けて公開しているつもりだからではないでしょうか。私の場合、ライトノベル的なものを好んで読む層だとか、二次創作なら原作のファンだとか、そういう読み手を想定しているので、それに該当しない知人に読んでもらいたいとは思わないですね。
仕事で書く文章は、最初から知人も含めてもっと多くの読者を想定にしているから、誰に読まれても恥ずかしくないのですが……。

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