佐江衆一著「士魂商才 五代友厚」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
薩摩藩士・五代才助は長崎海軍伝習所で西洋技術を目の当たりにし、勝海舟、グラバー等と知り合った。渡欧の後、小国日本が大国と渡り合うには商業を発展させねばならないと考えた才助の「名より実を取る」考えは藩内での反発を招き、薩摩藩での居場所を失って行く。やがて成立した明治政府に招かれた才助だったが、商業発展のため大阪の経済発展に尽くす道を選ぶ。

タイトルを見て岩崎弥太郎だと思ったのですが、五代才助(五代友厚)氏の物語でした。

読み始めてすぐ、

泣こかい、跳ぼかい、
泣こよっか、ひっ跳べ!

というフレーズに遭遇し、宝塚星組「桜華に舞え」で散々聞いたなと懐かしく思いながら読みました。時代設定や、薩摩藩士の物語という点から、公演時期に読んでいたらまた違う味わいがあったかもしれません。

幕末から明治維新への流れを、これまでとはまた違う経済的な面から見ることができて面白かったです。
才助が商人に転身するのはいつだろう、と思いながら読んでいたのですが、明治以後だったのですね。
後半、大阪に来てからの話が完璧に駆け足で、出来事の羅列状態になっていました。士族から商人へ転身した男の物語としては、その部分こそ見せて欲しかった気がします。

最後はちょっと締めきれていない感じもあり、それも含めて歴史小説らしい歴史小説だと思いました。

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