ダーリン・イン・ザ・フランキス6話より、小説的なもの。
通常、放映中・連載中の作品は、あとの展開でひっくり返る可能性があるため二次創作しないのですが、ゴローのいい人っぷりに負けました。
言えなかった。乗らないでって、言えなかったーー!
慟哭するイチゴを叱咤し、ステイメンの席に戻ったゴローは、しかし操縦桿を握ることなく顔を覆った。
当然だ、言えるわけがない。
「ヒロが死ぬかもしれない」なんて、曖昧な噂に基づく不安ではない。「ヒロは死ぬ」と知っていた自分だって、言えなかったのに。
そうしてヒロに乞われるまま口を噤んでおきながら、出撃前にヒロと話すようイチゴの背を押したのも自分だ。
それをゴローはずっと、二人への友情ゆえだと思っていた。
けれど、本当にそうだったのだろうか。
言えなかったと聞き、泣きじゃくるイチゴを見て、いま自分の心が揺れ動いているのは、イチゴに責任を押し付けようとしていたからでないか。イチゴでもヒロは止められなかった。だから、俺が止められないのも仕方ない。そう思いたかったのでないか。
だとしたら自分には、言えなかったと泣く資格もない。
ゴローは歯を食い縛り、手の中に涙を閉じ込めた。
デルフィニウムはまだ動けない。
ダリフラの子供たちは恋愛感情というものを知らないので、自分の感情も理解できなくて大変だなあと思います。考え過ぎだよ、ゴロー!
本作では、ゴローの真面目で有能で苦労人気質で不憫な感じが何より好きですが、さらに自罰的でもあってくれると良いなと思っています(笑)。