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宝塚月組「カンパニー −努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)−」「BADDY(バッディ) −悪党(ヤツ)は月からやって来る−」18:30回(e+貸切)。

両作品とも、「長音で終わる1単語のタイトル」「長い上に読みの注釈が多いサブタイトル」という、かなり癖のある2本立て。
貸切挨拶は、組長もトップも、定型文だけでない自分なりのメッセージを盛り込んでいたのが好印象でした。

ミュージカル・プレイ「カンパニー −努力、情熱、そして仲間たち−」

伊吹有喜著の同名小説のミュージカル化。

期待していなかった為か、面白かったです。
決して名作ではないし、ストーリーはぶつ切り、主役カップルが話の軸にいない、おうむ返しのやり取りが耳障りで、全体的な言葉選びに石田先生らしい配慮のなさを感じる、といった問題はあります。青柳の再生の物語のはずなのに、最初から健全な魂を持った元気な人に見えたのは、役者のせいではないと思います。
しかし、軽い現代物として笑えるところもあったし、役も多く、体力を使わず楽しめる舞台だったと思います。

……実は観劇前に具合が悪く、途中退席の危険もあると危惧していたのですが、適度に突っ込みつつ観ていたら回復しました。そのため、少し評価が引き上げられています(笑)。

ショー・テント・タカラヅカ「BADDY −悪党は月からやって来る−」

数々のオリジナル悲劇で劇評を沸かせた上田久美子先生による、初ショー作品。

舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる! 

事前の公演解説に度肝を抜かれ、初日は物議を醸したものの、総じて評判が高く、却って好みでなかったらどうしようと思っていたのですが、これは正に傑作でした!
あまりに面白くて興奮してしまい、動悸がしたくらいです(笑)。
率直にいうと、出演者の力の入りかたも、ショーの方に偏っている気がしたけれど、まぁこれは仕方ないでしょう。

完全なストーリー仕立てで、全幕が繋がっています。それでいてプロローグ、中詰め、ラインダンス、群舞、デュエットダンス、パレードといった宝塚ショーの組立に忠実な構成の妙に脱帽しました。
メインの話の筋は明解だから、1回でも十分な満足度があるけれど、色々な出来事が同時進行する多重構造なので、組長が推奨していた通り、2回、3回と観劇できたら更に楽しいだろうなぁと思いました。

以下、ザッと印象に残った出演生徒について。

珠城りょうは、芝居の青柳が真面目で誠実という本人の持ち味まま「らしい」役だったのに対し、観劇前は似合わなそうだと思っていたショーのバッディが生き生きとした魅力に溢れていたのが印象的。
スイートハートに「スケールが小さくなってる」と嘆かれる通り、地球の善の空気にあてられたのか、どんどん悪のレベルが下がって、コメディ感全開なのですが、ちゃんと要所では「悪の格好良さ」を魅せてくれていました。

愛希れいかは、芝居もショーも一つレベルを押し上げる要因ですね。ショーの「グッディの怒り」の「怒り」の表現に、涙が出そうになりました。 

美弥るりかは、芝居を見てもショーを見ても美弥だなと思ったけれど、要は役を自分に引き寄せるタイプなのかも知れません。唯一無二のキャラクターになりつつあるなと思います。

本作で退団する宇月颯早乙女わかばは、芝居も目立つ役だったけれど、断然、ショーが魅力的。悪にも善にもなりきれなくなっていく宇月と、グッディとはまた別のベクトルで「良い子」の影響力を生むわかばの二人がどんな結末を迎えるのか、最後まで注目させられました。

芝居の方が印象に残ったのは、瀬川由衣役の海乃美月。元バレーボール選手という雰囲気が、動きや言葉のはしばしから感じられました。

月城かなとは、芝居の「那由多王子」も「ポッキー巡査」も両方美味しいし、良かったです。でも観劇回数が少ないため、未だに「誰だっけ……」と思ってしまうあたり、月組生としてうまく認識できていなくて申し訳ないです。

暁千星は踊りで沸かせました。見るたびに踊り、歌、芝居と三拍子揃って成長を見せ付けてくれるので、次はそろそろ若者役から脱却して欲しいかな。

千海華蘭は相変わらず学年不詳の可愛さ。今回も髪型が好みでした。群舞で悪い顔も見られたのが嬉しかったです。

輝月ゆうまは、宇宙人のインパクトが酷い(笑)。
芝居でも説明役としてセリフが多かったかな。やはり安定感、安心感があって好きです。

芝居の「バーバリアン」メンバーは、那由多以外も貴澄隼人夢奈瑠音蓮つかさと美男子揃いで説得力がありました。

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