宝塚宙組・博多座公演「黒い瞳」「VIVA!FESTA! in HAKATA」ライブビューイングに参加。
2019年初観劇は、2月も終盤のライブビューイングになりました。
多くの場合、千秋楽のライビュを行いますが、今回は明日が千秋楽で、本日は通常公演日。そのため、幕が降りたら即終演アナウンスが流れ、観客もあっという間に退出し始めたのに、ライビュ会場内の電気だけなかなか点かなかったあたり、アッサリ過ぎる終わりに映画館側が戸惑っている感がありました(笑)。
ミュージカル・プレイ「黒い瞳」-プーシキン作「大尉の娘」より-
大空祐飛ファンであれば、1998年月組初演時に二番手プガチョフの代役を務めた公演という、当時を知らずとも一度は聞いたことのある名作。初演映像は、名場面集などで部分的に観ています。原作も読んでいます(2013年5月20日記事参照)。
しかし全幕を通して観るのは初めてだったので、こんなにスピード感のある作品とは知らず、圧倒されました。
登場人物の名前や地名は難しく、二転三転裏切る奴もいて人間関係は複雑。そもそもコサックというものがロシアやロシアの歴史に詳しくないと意味不明なのに「ステンカ・ラージンの子供達よ」なんてサラッと言ってたり、ちょっと難易度が高い作品ではあるので、万人向けとは思いません。でも、今後も大事に上演して欲しい作品だと思います。
以下、役感想です。
ニコライ@真風涼帆は、貴族のボンボンではあるのですが、愛情深い家庭で真っ直ぐに育った青年という印象で、多少の無鉄砲も好感が持てます。傅役のサヴェーリィチ@寿つかさが、ちょっといき過ぎなところもある可愛いお爺ちゃんなので、コンビとして良い組み合わせなんですね。
真風は見た目が大人の男なのに、こういう若い役も違和感なくこなせる辺り、役者だなと感心しました。
マーシャ@星風まどかは、冒頭の雪の少女のダンスでちょっと苦戦していたように思いますが、本役のマーシャはとても良かったです。善良で健気で、ひたむきにニコライを愛していることが伝わってくる少女でした。
プガチョフ@愛月ひかるに対しては、紫吹じゅんや大空祐飛や未涼亜希など、歴代プガチョフを演じた役者へのイメージや思い入れを重ねながら観てしまっていたのですが、その虚像に飲み込まれずプガチョフという面白い人物を見せてくれました。
シヴァーブリン@桜木みなとは、前回公演に引き続き、可愛い弟キャラから脱却を試みる配役のお試し中、という感じですね。二作続けて拗らせたタイプの悪役を演じている成果か、少し陰気が出てきたと感じました。
しかし、私としてはそろそろニンに合った善良な役が観たいです。
マクシームィチ@蒼羽りくは、兵士、コサック、恋人、上司、友人といった様々なものの間を揺れ動きつつ、誠実に生きることを全うしていて、最後まで誰も裏切らない、優しい男でした。その優しさが終始滲み出ていたと思います。
ニコライは、いずれパラーシカ@瀬戸花まりにマクシームィチの死を告げるのだろうか、と思うと寂しくなります……。
語り部トリオ(愛・勇気・祈り)は、下級生とは思えない上手さ。全体を引き締める大事な役をちゃんと担ってくれていました。
エカテリーナ二世@純矢ちとせの演技は、最初戸惑いましたが、実に硬質で強い皇帝であり、でも実際はそれは何重にも鎧をまとって今の形になったのだろうと納得できる女性像でした。歌はちょっと期待外れだったんですが、改めて聴くと難曲ですね。
イヴァン中尉@星吹彩翔は、ちょっと吃驚するくらい格好良くて狼狽えました。私には眼帯萌え属性があるのでしょうか!?
スーパー・レビュー「VIVA!FESTA!in HAKATA」
初演「VIVA!FESTA!」は1回しか観ていませんが、前半にある一場面「牛追い(エンシエロ)」で、蒼羽りくがトップスターと一騎打ちのダンスを踊った事への感動が強く、実は今回のライブビューイングのチケットを買った最大の理由は「牛追い」をもう一度観たい、というものでした。しかし、博多座版では「牛追い」が新規場面「サン・ホセの火祭り」に差し替えられていました。
妥当な変更とは言え、個人的にはガッカリだし、火祭りは「血祭り」と聞き間違えそうだし、と演出の中村先生を内心罵っていたのですがーー
すみません。なぜか、りくファン的にはもっと美味しい画面になってました。
まさか、役名(エンリケ)付きで真風の腕の中で死なせてもらえるとは夢にも思わず、同シーンで敵役だった愛月ファンの友人に謝りたくなりました。あと真風ファン勢にも、相手役でもないのに真風氏に抱かれるなと怒られてるんだろうなと思いました。
しかし、こちらとしても、噛みしめる間も無く唖然としていたのですが……。暗転までにもう少し余韻を!
新規場面が結構多く、「誇りと野心の大地」も初演と違う視点で展開するなど、なかなか新鮮なアレンジで楽しめました。
3場面目にして、「祭に疲れた」と歌ってしまう「ヴァルプルギスの夜」の若者だとか、結果的に魔物ネタが続くことや、「誇りと野心」のどこに祭りが関係するのかとか、いろいろ突っ込みたくなる要素はあるのですが、バラエティに富んでいて楽しいショーだと思います。
特に、中詰である「YOSAKOIソーラン」はやはり盛り上がりました。
地方公演だからか、ショーでは結構歓声も上がっていましたね。拍手も非常に熱く、楽しい公演でした。