プーシキン著 神西清訳「大尉の娘」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
青年士官グリニョフは赴任先の大尉の娘マリヤと恋に落ちる。やがて反乱により町はコサックに乗っ取られるが、首魁プガチョフはグリニョフから上着を恵まれた過去があり、2人を逃がす。グリニョフはプガチョフへ友情を抱きつつ、軍人として戦い続ける。しかし反乱が治まると、グリニョフはプガチョフとの交友から内通を疑われ流刑を言い渡されてしまう。マリヤは単身ペテルブルグへ赴き、女帝に直訴して許しを得る。

あらすじの3文目はなくてもお話の流れは分かりますが、熟考の末入れました。
この作品は歴史物でもあり、冒険活劇でもあり、恋愛物でもあり、どれも重要なパーツですが、一番の面白みは主人公とプガチョフの奇妙な友情的な関係だと感じたからです。

前回「オネーギン」で大苦戦したのが嘘のように、楽しく読めました。
昭和14年の古い訳ですが、読みやすかったです。グリニョフが体験した出来事を語る形のため視点が定まっており、「オネーギン」のように混乱しなかったという点は大きいでしょうが、物語自体も面白かったです。
残酷な展開や無情感もあるけれど、読了感が良いため、全体的には清々しい気持ちになる作品でした。

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