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田中芳樹著 ダニエル・ハドルストン訳「Legend of Galactic Heroes:Dawn」

田中芳樹著「銀河英雄伝説」第1巻(黎明編)の英訳版。

洋書なので、一切日本語は出てこないのですが、何度も読んで頭に入っているストーリーと台詞回しなので、読めるんじゃないかな、と思って読み始めたら、思った以上にスラスラ読めました。非常に読みやすいです。
何より、知らない単語があっても、ニュアンスで(原作の文章を思い出して)読み取れるというのは楽ですね。たまに、英文を訳して読んだのか、日本語の台詞を勝手に脳内再生したのか定かでない時もあります。

"Here in my room, I can hear the crowds outside shouting ‘Hail, Rudolf!’ I wonder how many days they’ll need to realize that they’re cheering their own hangman.”

「民衆がルドルフ万歳を叫ぶ声が私の部屋にも聴こえてくる。彼らが絞刑吏に万歳を叫んだことを自覚するまで、どれほどの日数を必要とするだろう」

(「Legend of Galactic Heroes:Dawn」PROLOGUEおよび「銀河英雄伝説 黎明編」序章より引用)

とはいえ、さすがに完全な洋書なので、斜め読みはできません。わからない単語や文法が出てきたらそれを今日の学びとして調べて終了ーー程度の進めかたをしています。そのため、読む速度は遅いです。完読してから掲載しようと思ったけれど、何ヵ月後になるか定かでないので、アスターテの会戦が終わったところでこの記事を書いています。

文中に使われている単語は、単語力がない私でもそれほど頻繁に辞書と引かずに済んでいるので、難しいものは使われていない印象です。まったく想像がつかなくて、最初に引いた単語は「siblings」だったかな? 英語圏では日常的に使用されているし、非常に使い勝手のいい単語だったので一発で覚えました。
難しいのはむしろ、知っている単語が知らない意味で使われているときですね。「office」は私は事務所としての意味しか思い浮かばなくて躓いたのですが、要職とか仕事とか色々な使い方があるんですね。
また、帝国人がドイツ語圏名なので、キャラクター名として馴染んでいる音の印象と字面が合わなくて、ちょっと不思議に感じる時があります。
でも一番驚いたのは、本作独特の典雅な言い回しが、割とそのまま英語化されていること。こんなに直訳で、ちゃんと英語圏の人に通じるのかな?と思ったくらいです。

なんにせよ、自分が好きな日本語作品を英語で読む、というのは英語の勉強としても面白い体験だと思いました。

コメント

水輪

 お久しぶりです。
 私もタイトルは忘れましたが、宮沢賢治を英訳して、なぜその単語を使ったのか解説してくれる本を読んだことがあります。
 主に詩の翻訳だったので、リズム感を大切にしたとか、宮沢賢治がその詩を書いた時期の取り巻く状況の解説が、国語の教科書よりわかりやすかったです(笑)

 完全英訳はちょっと敷居が高い感じですね

麻生壱埜

ご無沙汰しております。
解説つきは面白いですね! 岩波書店の「英語で読み解く賢治の世界」でしょうか。
国語の教科書より分かりやすいのは、笑っちゃうけれど、わかる気がします。

昔AKCには、半分は若気の至り、半分は英語力強化を目論んで、自作を若干数英訳して置いてましたが、あれも「あえてこの単語を選ぶぜ!」みたいなことをしておりました。
もっとも、語彙力が足りなくて、本当に思ったような表現になっていたかは疑問ですが。

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