ミュージカル「ナイツ・テイル ー騎士物語ー」@帝国劇場、17:30回
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昨年12月以来、ひさしぶりの生観劇です。
本作はジョン・ケアード演出、ジャニーズの堂本光一とミュージカル界のプリンス井上芳雄のダブル主演という、豪華舞台。3年前の初演は、当然チケットが手に入らず仕舞いでした。
今回の再演も半ば諦めながら申し込んだところ、まさかの当選。間違いでないか当選メールを10回は確認したし、チケットがとれたと観劇仲間に報告したら「今年の運を使い切ったね」と祝われました(苦笑)。
緊急事態宣言が明けた週末の予定として、これ以上なく楽しみにしていました。
ただ結論から書くと、少々残念な出来でした。
個々のシーンには良いところもあったし、役者は熱演して、緩急があるので飽きずに観られる作品になっています。
しかし、台詞はシェイクスピアらしい大仰さなのに、歌詞は非常に現代的だったり、古代ギリシャの話でその当時の価値観で話が進むのに衣装は新奇だったり、色々な要素がチグハグだったと思います。特に最後は唐突なハッピーエンドにまとめられるせいで、壮大な茶番だったと感じてしまいました。
原案の「二人の貴公子」は、戯曲を読んでいます(2010年10月30日記事参照)。宝塚月組のバウホール公演も、やや流し見ですが過去のスカイステージ放送時に観ています。
今作は、パラモンが牢番の娘に名前を聞いた時点で、もしかしたら2人が結ばれる改変版の脚本を採用しているのかもしれないと気付きました。
牢番の娘の名前が、エミーリアの亡き親友フラヴィーナであるという引きもあって、2幕はどんな展開になるかわからないぞと期待していたのですが、牢番の娘はお手軽に正気を取り戻すし、パラモンは娘と再会したら心変わりするし、エミーリアは都合よくアーサイトを好きだとか言い出すしで、ひっくり返りました。
戯曲通りの展開も現代人には受けないかもしれないけれど、改変するならもっと根本から変えた方が良かったと思います。
アーサイト役の堂本光一は、初めて生で観ました。舞台経験は多いはずですが、滑舌が悪いし独特の節で話すので、慣れるまで聞き取れないことが多くて少し疲れました。井上芳雄との声の相性も良くなかったと思います。井上芳雄の方も、2人で歌う曲だと少しセーブしている感じがありました。
背の低いことを結構いじられているのは、いじって良いんだ〜と思いました。
演出は、近年の傾向通りあまり大掛かりなセット転換をしないコンパクトなもの。クレオンの殺戮の演出なんかは、本当に舞台が血に染まって見えて良かったです。またプロローグで恐ろしいクレオンの像が割れて死を演出し、エピローグで光り輝くアテネの像が降臨するとか、意図を感じるところも随所にありました。ただ、観客の想像力に委ねすぎていて、正直物足りなかったです。
あとは、日本公演の作品だからか、和要素が取り入れられているなと思いました。音楽に和太鼓や三味線があったり、歌舞伎の見栄のような振りもあるのは面白かったです。
そうそう。オケ人数はかなり削減していそうでしたが、生演奏は嬉しい点でした。