2008年4月1日エイプリルフール限定公開したBLEACHサイトより、そろそろ時効と言うことで収録。
コミックス16巻ネタバレです。


 ――可哀想な子。

 少女は既に斬魄刀を抜いていた。
「俺の知ってる藍染はな――!」
 少年は言葉を尽くして亡き男の人格を訴えるが、少女の耳は既に閉ざされている。
 もっとも、男について少年の知ることなど、なにひとつ真でない。偶像を仰ぎ見ていた者が如何に言葉を重ねようと、真実からは遠離るばかりだ。
 憐憫を禁じ得ず、市丸の口の端に薄い笑いが浮かんだ。
「だって、書いてあったもの!」
 流される涙は血に似ていた。
「藍染隊長がそう言ってるんだもん!」
 互いこそ最大の味方であった筈の二人が刃を間に置き、いま正に喜劇の幕を開けようとしている。紅い月が舞台に照明を与えた。

 一言、言えば良いのに。
 少年は最後のチャンスを口をつぐんで見過ごした。問えなかったのは彼の怖れゆえだ。
 ――俺がそんな奴に見えるか、と。


雛森副隊長は、少しギンを見習って、幼馴染を大事にするべきだと思います。

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