宝塚宙組「逆転裁判2 -蘇る真実、再び-」15:00回観劇。
宝塚では初の続編上演は、確かに「逆転裁判2」でした。
ゲームファン・宝塚ファン双方への配慮か、ゲーム準拠キャラと路線生徒の出番や歌が増えていたように思います。
その分、今回ヒロインとなったオリジナルキャラ・ルーチェ@純矢ちとせは、しどころのない役で、ちょっと可哀想に感じました。二幕の唐突な告白はなしにして、ローランドを待ち続けると言わせた方が良かったのではないかなぁ。
キャラクターあれこれ。
成歩堂龍一は、今後別の舞台やドラマなどになって別の人が演じる可能性が皆無でないけれど、もうフェニックス・ライトは蘭寿とむ以外誰も出来ない役だ、と思いました。後は、本公演で大空祐飛と芝居するとどんな化学反応を起こすのか?と言うことだけが楽しみです。
前回チェック対象として認識したディック・ガムシュー(糸鋸)@春風弥里は、プログラム写真が糸鋸を意識する事を止めた「美形」撮りでドギマギしましたが、舞台が開くと前回以上の三枚目路線でした。ソロもあったけれど、格好よさは皆無。次回本公演に期待します。
期待を一心に背負って登場したフランジスカ・ヴォン・カルマ(冥)@藤咲えりは、正に完璧な狩魔! 「ハンディおとめ」の写真段階でも美人で眼を惹きましたが、スタイルも見事なものでした。優位に立っている時の、肘を着いて指を振るポーズが可愛くて、何度もオペラを覗いてしまいました。鞭捌きもなかなかの練習と工夫の跡があったのではないでしょうか。
もう一人、ゲームファンにお勧めの再現キャラであるマヤ・フェイ(真宵)@すみれ乃麗は、相変わらずとても可愛かったです。ストップモーションが全然出来ていなくて、ぐらぐらした挙げ句に途中でポーズを変えていたのは可愛かったけれど、舞台としては失敗ですよね。下駄で片足立ちと言うポーズで長時間動作を止めるのは、彼女にはハードルが高過ぎたのでは。演出でもっと簡単なポーズにしてあげられなかったのかな?
それらの事も含めて、今回は全体にお笑い指向のような気がしました。
もっとも笑いを受けていたのは、新マイルズ・エッジワース(御剣)@悠未ひろ。前回のクールな二枚目御剣だった七帆ひかると異なり、ちょっとオーバーアクションが過ぎるのか、本人の持ち味なのか、動作する度に頻繁に笑いが起きていたのは、可笑しいような、少しどうなのかなと思うようなところでした。
ローランド・スミス@七海ひろきは、逆に正統派二枚目で、ちょっと前代宙組トップ大和に似た雰囲気がありますね。演技もなかなか見所があり、今回で人気を稼ぎそうな予感があります。
二枚目と言えば、写真で期待したルード・ベス(殺し屋)@光海舞人が、出番と見せ場が極めて少なく、勿体ない使い方でした。下級生の陪審員の方が、舞台で顔を見せてる時間が多いのでは……?
ちなみに、今回一番この役がやりたいなぁと思ったのは、裁判長でした。唯の進行役だった前回より、だいぶ逆転裁判世界の裁判長らしくなっていたと思います。
今回、「レオナを出演させられない」と言う大前提で脚本を作るに当たって、3年後設定を止めれば、レオナは偽証や死体遺棄の件で有罪になり、まだ出所していない等と適当にお茶を濁す事も可能だった筈。
キャラクターに死を与えて退場させたのは、弁護士フェニックス・ライトの存在を揺さぶると言う要素には役立っているけれど、やや安易&強引な印象も受けました。
前回より練られていたし面白かったけれど、やっぱりキャステイング勝ちしてるような部分が強いかな。脚本面は、最初の証拠品の毒薬の存在が宙に浮いたまま説明されないだとか、レオナの存在が1を観てないとついていけなそうで心配だったり、逆にゲーム未プレイだとフランジスカの敵対心やラストの台詞が今ひとつピンと来なかったり、マヤが誘拐され緊迫した状態でルーチェを海辺に呼び出し他人の人生話をしてるライトに違和感があったりしました。
そもそも、この公判でライトとエッジワースの「法廷に立つ理由」は手に入ったのだろうか? そこが明確でなくて、二幕がちょっと消化不良でした。
演出と音楽に関しては、ほとんど前回と同じなので、多少変化球が欲しいですね。