【第6場 綱、出立つ】
四天王たちは、まず綱一人が大江山に潜入し、探索の糸口を掴む事にする。支度をする綱に、下女の藤の葉が同行を願い出る。綱は許さないが、藤の葉は「大江山に用がある」と言う――

かなりコミカルなシーン。ここで突然現れた藤の葉に驚き隠れるのは、鬼の妖術を怖がっていた碓井ではなく、卜部の方なんですね。
藤の葉が「大江山にお連れ下さい」と懇願する勢いと、「大江山に用がございます」と答える時の、嘘つき度たっぷりな白々しさ、挙動不審な視線、そして言い切った後の申し訳なさそうな顔が好きです。

【第7場 鬼達、集う】
大江山では、鬼達が姫君たちを侍らせ酒盛りしていた。茨木は酒呑童子に都の襲撃を止めるよう進言するが、酒呑は鬼を迫害した人への復讐だと譲らない――

ここまでの前半は、古い作品の割に意外とテンポが良いお芝居ですよね。1場の区切りが凄く短いので、さくさく感想も進みます。
鬼の重鎮は、役者名が表示されても素顔が思い出せないメイクで、脳内で他の役と結び付けるのに苦労します。
佐渡@天玲美音は、元々かなりシャープな顔付なので、鬼がよく似合ってますね。
胡蝶@花影アリスは本当にはまり役だったなぁと思います。金髪メッシュの日本髪と言うのも、普通は見られないビジュアルで綺麗でした。
酒呑の台詞「お前には私が辛い修行の結果、得た力を与えて〜」と言う台詞、何回聞いても違和感があります。どこかで区切るなら、「お前には、私が辛い修行の結果得た力を与えて〜」ですよね?

【第8場 綱、藤の葉、捕わる】
大江山に探索に来た綱と藤の葉は、見張りの鬼に捕らえられてしまう。藤の葉の火傷を見た鬼たちは彼女を滝壺に落とそうとするが、茨木はそれを止め、綱を杭に繋ぎ、藤の葉を召し使える――

藤の葉の火傷はキーポイントなので、メイクをしても良かったかなぁと思いますが、見ている時は綺麗な方が嬉しいので、難しいですね。
茨木が「父上」と呼び掛けた時に、羽黒が少し驚いた表情をしているので、恐らく茨木は酒呑を父と呼ぶことが殆どなかったんですね。

【第9場 二人、誓う】
茨木は、藤の葉が、人として暮らしていた幼い頃に共に育った藤子姫だと気付く。二人は愛を誓い合った仲だった。だが茨木は大江山に連れ戻され、藤子は大火事に遭って身分を失い、互いを見失ったのだ。茨木の存在を知った藤子が死を覚悟で大江山に来たことを察し、茨木の胸中は揺れる――

少年時代の茨木@綾瀬はるなは、とても可愛いんですけれど、成長した茨木に繋がる色気が皆無ですね。凄く健康的。これは役者の性質でしょうか。
一方、少女時代の藤子@百千糸は、成長した藤子に繋がるのが納得できる雰囲気。台詞がどれもこれも無邪気で可愛らしいのが好きです。
ピンスポで茨木が舞う演出、とても好きですが、藤の精のコロスが奇数人数なのが納得できません。絶対左右の人数が揃ってる方が綺麗だと思うのですが、公演人数の都合で偶数に出来なかったのでしょうか……。

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