岩波世界児童文学集より「星の王子さま」読了。

先年版権切れで新訳版が出たようですが、読んだのは以前からある岩波の内藤濯氏翻訳版です。

他の創作で取り上げられることがある、王子の故郷が小惑星B612なことや、キツネやバラと言った登場人物の存在は知っていましたが、今回初読です。
正確には、子供の頃に一度触れたはずですが、意味が分からなかったので、出だしで放棄していました。
しかし名作に触れないまま大人になるのも恥ずかしいので、今回思い切って再挑戦した次第です。
読んでみると、最初の辺りは苦手意識で進みが遅かったのですが、ヒツジの問答のあたりからするする読めるようになりました。
色々な小惑星を巡る辺りは、次はどんなところだろうと思いながら読み進められましたし、キツネとの友情は、心に響く言葉ばかりで唸りました。王子さまの最期は、こんな哀しい結末だとは思っていなかったのでしんみりしました。
ただし、垣根に咲いているバラに王子さまが一言言うシーンだけは、バラたちには関係ないことで責めていて、彼等が可哀想だなぁと思います。

それにしても、この本は、良く言われる意見にある「単なる児童書ではない」どころか、児童書風に仕上げた大人向け小説だと感じます。
自分がそうだったからと言って一概には言えませんが、子供が読むより大人が読んだ方が面白いお話ではないかしら。
ちなみに、私はヘビが結構気に入っています。王子さまがどうして星に帰る為には肉体を捨てねばならないのか分かりませんが、ヘビは自分が嫌がられる事を承知で、初対面の王子さまに、帰る術を約束したのかもと思うと、不思議な男気を感じます。

取り敢えず今は、王子さまが多少理解できる“ものわかりのいい”大人になれたことを喜びたいと思います。

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