ベニー松山著「風よ。龍に届いているか〈上〉」

ベニー松山氏の作品をちゃんと読んだのは、実は初めてです。
読んでいたのは、ベントスタッフの攻略本のゲームノベライズ短編のみ。PS版「BASTARD!!」は如何にテキスト重視ゲームと言っても小説でないし、同作の小説「黒い虹」は、完結してから読むつもりで、流し読みしかしていません。

キャラの善悪の属性で侵入できるフロアが違う、呪文使用回数など、ウィザードリィ「リルガミンの遺産」を遊んでると説明されるまでもない所なのでしょうけれど、巧く説明付けて盛り込んでいるので、「ゲーム的」などと一々引っ掛からずに小説として読めるのは、さすがだと思います。
国を救おうと迷宮に挑む冒険者の宿で、なぜ金を取るのかの下りは、そこを説明するかとちょっと面白かったです。
また、WIZ自体の設定ですが、僧侶が善悪どちらかでないといけない(中立では僧侶になれない)と言うのは、真理だなぁと思います。
バンシーが予告した死の危険は、登攀からの落下だけなのか。アドリアンは何者か。消息の分からないフレイはどうなってしまったのか。そしてそもそもの問題である大災厄はどうなるのか、先が気になります。
そして主人公として爽快なジヴに、マイノス、ザザと言った味のある仲間キャラが脇を固めていて、キャラ小説としても楽しめます。
が、敵の妖獣ゼノの表現が生理的に不快で、読破後に気持ち悪くなってしまいました。
これから展開されるだろう閉鎖空間での戦いが恐ろしく、続きを読む事を少々躊躇してしまいます。ボルフォフの手傷はどう読んでも危険な伏線で恐怖を煽るし……。文章表現力が豊かすぎるのも、ここまでホラーだとマイナスかも? 描写として成功している、と言えますけれどね。

「隣り合わせの灰と青春」も合わせて読むと、キャラの背景などが分かって楽しいのだろうな、と思いますが、さすがに「隣〜」を今から入手するのは難しいでしょうね。

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