• 2012年09月08日登録記事

Shibuya O-eastにて「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」14時回を観劇。
http://www.hedwig2012.jp/

ライブ会場を使った、ライブ形式の芝居。1ドリンク制というのは会場利用の都合なのでしょうか?
私は、スタンディングエリアの後ろに設けられた指定席で観劇。パイプ椅子なので、かなりお尻が痛くなりました。また、席の段差がないため人と人の隙間から覗く感じで、キャストが観えない局面も多々ありました。これはライブだと割り切って観劇しましたが、芝居を観たかった方には残念な会場だったと思います。

舞台ファンの教養として基本的な筋は知っていますが、映画は未見。また、過去に日本で上演された時も機会がなく、今回が初観劇でした。
今回は原作の設定を完全に変更し、未来の日本を舞台にリライト。挑戦意欲は素晴らしいけれど、デリケートな話題だし、個人的には、あまり変更点が活きているとは感じませんでした。ベルリンの壁とその崩壊という歴史的に観客誰もが共有できる事実と、架空の壁と未来都市ではリアル感が異なりますし、壁が崩壊したことに対する意義も全く違うものになってしまってますよね。

芝居としては大変疑問符の残る内容でしたが、ライヴとして観れば、とても面白かったです。
一番楽しかったのは、メンバー紹介のアドリブセッション。
ライブハウスという小さめの箱だけに、バンドの迫力と楽曲の力は全身で感じました。

ヘドウィグ@森山未來は、ドラァグクイーンっぷりが意外にも似合っていたし、ダンスなしでも、台詞回しや歌で充分魅せてくれました。芝居なので、MCをやっているような振りをしつつ脚本通りなのでしょうが、凄く巧く客席を乗せていました。反面、本当の性格は割とドライな印象。トミーに捨てられたことについても、本当は諦めがついているように感じます。
トミーも森山が演じているのは、2人が「片割れ」であることが視覚的に判り易くて良かったです。

イツァーク@後藤まりこは可愛いけれど、歌は聞き取れないし存在意義が不明でした。原作で担っていた存在意義を、今回の舞台では最初から与えていない印象ですよね。それならいっそ、イツァークの存在を無くし、ヘドウィグのワンマンショーにしてしまった方がスッキリしたのでは。
演出目的は判りませんが、個人的には宗教っぽさを感じる箇所が時折あったので、正直彼女の存在が一番引っ掛かりました。

なお、この舞台ではステージの壁全面に映像を流していたのですが、これがテンポも良く、手動でタイミングも併せてあるようなベスト感で、なかなか巧く働いていました。