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今年も半ばが過ぎるという感慨に耽りつつ日記のゲーム記事を読み返していたところ、結構な数の誤字を発見したので、気付いたものは修正しました。

お恥ずかしい限りですが、毎日記事を上げることが優先で、推敲はもちろん、校正もせず投稿することが多いので……。
というのは言い訳ですが、実際自分が書いた文章は、なかなか誤字を見つけにくいものです。
逆に言えば、他人の書いた文章だと、結構な確率で誤字を見つけることができます。よって、校正は他人にしてもらうのが一番だと私は思っています。

でも、他人に校正してもらえる機会なんて、プライベートではそうありません。
そこで次善の策となるのは、自分の文章と距離を置くことです。

老眼のイラスト

……って、こういう意味ではなく(笑)。

具体的には、書いたあと1日以上時間を置いてから校正することです。自分の書いた文章でも、時間が経過してから読むと書いた時の記憶が薄れ、新鮮な気持ちで読み返すことができます。その際、自然と誤字もチェックできるものです。

しかし、上記の方法だと、文章の完成までに時間が掛かってしまいます。
早く仕上げたい時は、文章を「読む」のではなく、「見る」ようなつもりであたりつつ、音読すると、誤字に気付きやすいかなと思います。
また、コストは掛かりますが、プリントアウトすると結構見え方が変わって、間違いに気付きやすくなるので、論文などは紙面でチェックをオススメします。

作文の添削をしている先生のイラスト

どんな手法にせよ、「この文章には絶対に間違いがある。自分は見付けられていないだけだ」と考えて、間違い探しをしている気分になると、結構精度が上がります。

私は学生時代に、ある先輩から「誤字のない本はない」と聞かされて、納得したことがあります。以来、恥ずかしいとは思うけれど、単なる誤字なら自分の誤字にも他人の誤字にも割と寛容です。
そして、誤字のない本はないと思うからこそ、「誤字はある」という気持ちで熱心に誤字探しができるのかなと思っています。

まあ、書く時に誤変換に気をつけるだけで、誤字はほぼなくなりますけれどね!

ちなみに、似たような話だけれど、ソフトウェア開発者に「バグのないプログラムはない」と開き直られると、私はいつも怒ってます(笑)。理屈はわかるけれど、目に見えるバグがあるのはデバッグの不足だよ!

※文中のイラストは「いらすとや」様からお借りしました。

昨年、「萌えるマニュアル」という話題を提供してくれた、テクニカルライター向けの発表会「TCシンポジウム」(2012年7月26日記事参照)。
今年のキーワードは、“キュレーションとゲームニクス”でした。

ゲームニクス自体は、至極納得できる理論です。

テレビゲームの「マニュアルを読ませることなく、誰にでも見ただけで使い方がわかり、知らないうちに使いこなせる」製品を作るための、ユーザー・インターフェースに関するノウハウの総称。「直感的なUI」「マニュアル不要の操作理解」「はまる演出と、段階的学習効果」「ゲームの外部化」の4要素から構成される。

はてなキーワード(ゲームニクス)より

私は、マニュアルを作る人間の最終目標は、マニュアル作りと言う仕事が不要になることだと思っています。
ユーザーに操作方法を伝えるためには、マニュアルという形に拘わらず、システムのUIを磨く必要があるのです。

例えば、スーパーマリオの1面は「1体のキャラクターが画面の左側に立っている。そのキャラクターは右を向いている」という構造で、マニュアルがなくとも「右に進むゲーム」だと分かります。
ゲームニクスの実践とは、こういうことだと思います。

このキーワードを持って来たと言うことは、TC協会も、遂に自身の存在意義に踏み込むのかと思ったのですが……

パネルディスカッション04
ゲーム仕立てのマニュアルを作ってみた! ~ゲーミフィケーションの実践と可能性~
http://www.jtca.org/symposium/2013/panel_tokyo.html#04

あれ、やっぱりそちらの「ゲーム」なの!?(笑)

「TCシンポジウム」という、テクニカルライター向けの発表会があります。
仕事の都合上、私も案内を度々頂き何度か伺っていますが、今年のシンポジウム(東京エリア)で開催されるという下記パネルディスカッションを知って、思わず仰け反りました。

パネルディスカッション03
萌えるマニュアルへの挑戦! ライトノベルに学ぶ新しいマニュアル制作
http://www.jtca.org/symposium/2012/panel_tokyo.html#03

パネリストが意外に本気の人選で驚きますね。
私は「オタク」に分類される人間だと自認しているので、逆にオタクではない方々に、中途半端に萌えへの理解を示されても困惑してしまうのですが、こういう時代なんですねぇ。
……と、話題にはしましたが参加しませんよ(笑)。

1回目は、テクニカルライターとテクニカルライティングについてご説明しましょう。

たとえば新しいゲーム機を買うと、箱の中にはゲーム機本体と、取り扱い方法を説明する製品マニュアルが梱包されていますね。
この製品マニュアルを作っているのが、テクニカルライターです。(※1)
そして、テクニカルライターが製品マニュアルを書くための技術を、テクニカルライティングと呼びます。(※2)
テクニカルライティングとは、事象(製品)を、正確に、わかりやすく説明するための文章作成技術です。

テクニカルライティングを身に付けても、ブログが面白くなったり、小説が巧く書けたりはしません。残念ですが、人を引き付ける文章を書くには、また別の作文技術が必要なようです。
しかし、オフ会の詳細メールを書くなど、伝達事項や自分の意見、報告を伝えるときは、この技術が大いに役立ちます。

このブログでは「このように書くべし」という指南記事は書きません。(※3)
凄く簡単で今日から役に立つ手法や、「○○へ」と「○○に」の使い分けなどのあまり意識しない言葉の違い、効果を生む箇条書きに関する意外な科学的根拠など、職場に転がっているちょっとした小ネタをご案内する予定です。そうすることで、テクニカルライターがどんなことを考えてマニュアルを書いているのか知って頂いたり、テクニカルライティングの普及に繋がればと思っています。

※1 近年は紙の説明書のほかに、PDFや本体内蔵ヘルプ、動画など様々な形のマニュアルがある。そのため、テクニカルライターと言っても、紙のマニュアルだけ作っているわけではない。

※2 現在はマニュアルライティングだけでなく、実用文を作る技術と言う説明も多い。

※3 と言うより、未熟者なので、できない(苦笑)。