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荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」6巻

表紙はファランギース。
漫画版での登場当時、ファランギースの露出は原作の記述と反している、と小煩いことを言っていたのに、最近は露出が少ないとガッカリしてしまうという、面倒なファン心理を抱えています。

6巻は、35章から40章までを収録。
1ページ目を開いて、まだペシャワールに到達していなかったことを思い出しました。いかにペシャワールが遠いか、身を以て体感させられた感じです。
前巻から登場したアルフリードですが、あっという間に一行に馴染み、明るく楽しい話題を振りまいてくれて、好感触です。風呂浴び後は化粧を落とした状態になっていましたが、漫画版のアルフリードは化粧があってもなくても変わらず可愛いですね。
「エラムには色々教えてほしかったのに」と落ち込む姿には、ファランギース同様、見ていて思わず温かい笑みが溢れました。エラムは小姑気質だし、ナルサスは態度をハッキリさせないし、と考えるとアルフリードがナルサス一筋で何年も待つのは本当に偉いです。

遂に「王子二人」が終わり、「落日悲歌」の内容へ踏み込んでいきました。
時系列で執拗に細部まで描いたペシャワールまでの道に対し、ラジェンドラの侵攻に対しては時系列を変えていて、なかなか上手い次回への引きだな、と思いました。
部下に「奇襲ですのでお静かに」と諌められているラジェンドラも面白かったし、「えっ?」で終わるラストシーンからは、笑いしか起きません。

その他では、全体的に、殿下が麗しく描かれていると感じました。
また、キシュワードの妻子が描写されていて驚きました。原作一部の段階では登場しないけれど、二部に登場するのですね。しかもマヌーチュルフなんて脇役まで掬い上げる辺り、荒川先生の原作読み込みは凄まじいなと思いました。

おまけ描き下ろし4コマはザンデの「殿下」呼びネタ2本立て。
本編でも、ヒルメスの発言を真っ向から受け取って喜んでいたり、可愛くて可哀想なザンデが見られて嬉しかったです。

TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」8話「風塵乱舞」(最終回)
http://arslan.jp/2/

王都奪還はこれからだ!で終了する、予想通りのエンドでした。
なぜ、8話という変則的な放送スケジュールだったのかは不明ですが、第一部完結まで進まないのであれば、これが一番良い最終回だったと思います。四つ巴の戦いが始まるという高まりがあって、この先の物語を期待させる終わりかたでした。
ただ、ルクナバードをヒルメスが所有しているという時点で、完全に原作から逸れているのですよね。
三期の予定がないから、アニメ的な面白さを追求して、好き勝手やった結果なのか、それともこの先の巧い展開を考えてあるのか、とても気になります。
ここで投げ出したらいくらなんでも中途半端なので、原作に忠実で面白い漫画とは別に、アニメはアニメでちゃんと完結して欲しいです。

最終話にして、ザンデが生き生きと活躍していました。だからといって、1話で最大の見せ場を奪ってしまったことは許さないぞ、と思ったり。
サーム卿との仲が良好そうなのは良かったです。原作でこの二人の仲が描写されていた記憶はないですが、サームにとっては息子世代のザンデを、多少微笑ましく見守っている雰囲気を感じました。

トゥラーン軍のことがきちんと処理されずに流されたこと、ジムサが結局出番がないまま終わってしまったこと、といった点は、アンドラゴラス側に割く尺がないということで仕方ないのかな。
それと、全体的にギスカールが無能に見える描写が残念でした。

エトワールの嘆願にはちょっと変な台詞回しがありましたが、ナルサスとダリューンの反論は原作通りで安心しました。

TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」6話「列王の災難」
エンドカードは、弘兼憲史先生。アルスラーンはまだしも、ダリューンは島耕作が扮装してるようにしか見えなくて、腹筋に試練を与えてきました。
http://arslan.jp/2/

ほぼルシタニア側で終わった1話でした。
列王というから、トゥラーン側も描写されるのかと思いましたが、残り話数が足りないからペシャワール城塞の戦いは無視されそうですね。

シナリオの改変はともかく、ヒルメスの軍勢が乱入してきたのに兵士が棒立ちだったり、全体的に表現力の弱さが気になりました。アニメのいいところは「動く」ことだと思うので、もう少し動いて欲しいところ。
1期で割愛された用水路破壊が、あったことになっていました。籠城作戦を取らない理由付けとして必要な要素ではあるけれど、少し唐突かな。急にエクバターナが廃れているように見えました。
その辺も含めて全体的に、説明不足でギスカール公爵が無能に見えるのが残念です。エトワールへの言い訳は、原作の「マルヤムの遺臣が、わが兄の生命をねらっておる」の方が説得力があったのでは。
それにしても、イノケンティス七世の「皮下脂肪」ネタは鉄板ですね。

メルレインは原作より多弁だけれど、アルフリードの兄貴っぽさは出ているなと思います。アルフリードに対しては特に美少女と思わないのだけれど、彼女と良く似ているメルレインは美青年だなと感じるので、アルフリードも可愛いというより格好いい女の子なのかも。

TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」5話「決別」
エンドカードは、森川ジョージ氏による初期アルスラーン一行。
http://arslan.jp/2/

今週は、完全に「水戸黄門」でした。
ペテルギウス総督を断罪するシーンは、左右に助さん&格さん(ダリューン&ナルサス)という構図から狙っていたと思います。「生きたお土産」が、酒席というソフトな表現になっていたのも、余計にお銀さんみたいでした。

一方、家捜しギーヴの方に対しては、久し振りに本職で働いているな、と誤った感想を抱いてしまいました。ギーヴは吟遊詩人でしたね。もう少しウードを持ち歩いてくれても良いと思います。
荒川版ペラギウス総督、悪党だけれど憎めない奴にされていて、結構好きです。私、ザンデの顔も好きだし、顎がしっかりした顔が好きなのかな……。
そんなわけで、前半は楽しく視聴しました。欲を言えば「わたしのような絶世の美女がふたりとおるとでも思ったか」という、ファランギースらしい高飛車な台詞と、殿下がペラギウスに対して「法の枠のなかで総督が貯えたものは残してやってよい」と慈悲を下す箇所は入れて欲しかったかな。

ちなみに、女官に迫るシーンでの「壁ドン」ドアップで描かれるギーヴの色男ぶりには震撼しました。作画が不安定なアルスラーン戦記ですが、ギーヴはあまり崩れた記憶がありません。描きやすそうには見えないけれど、美男子設定が作画も下支えしているのでしょうか。

Cパートがあるとは思わなかったので、驚きました。
エトワールがどうしてこの件に関わっているのか、説明は次週かな。アルスラーン戦記にしては珍しい、来週への興味を引くやり方ですね。

しかし、原作のエピソードをピックアップしているのに、全体が微妙に改変されているのがモヤモヤします。単なる台詞の取捨選択だけでなく、本質が変わっているような気がする箇所もあります。
例えば、海賊退治を商人達と約束するシーンがないから、グラーゼが個人的に財布を出してくれているように見えるし、そのせいで、グラーゼを総督代理に推す理由が、単なる恩賞人事に見えてしまうのも心配。戦争と経済に関する説明は、もう少し入れて欲しいです。
唯一、海賊戦における潮の流れと火を使った戦術は、ほぼ原作通りとはいえ、一個人の武勇だけでない戦いが描かれていて良かったと思います。

TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」4話「陸の都と水の都と」
エンドカードは、ヤスダスズヒト先生のギーヴ&ファランギース。
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ギラン編に入りましたが、予想外にアニメ独自路線で攻めてきましたね。
シャガードの出番が増えたことに関しては、出逢って直ぐ決裂だと、印象が薄いので、位置付けを変えたのかなと思います。原作では小物過ぎて、ナルサスの友人と思えなかったので、この方向性でどう進むのかは楽しみです。しかし、このシャガードは確固たる自身を持っているので、ナルサスに嫉妬しなそうな気もしました。

全体的な脚本に関しては、ギャグ成分が多めになっていて、一長一短だと思いました。
笑えるシーンが多いと、アニメとしては見やすくなるので、少し息抜きはあった方が良いですよね。
ペラギウスは、害のない無能っぷりで良かったと思います。次回、財産没収シーンもありそうなので楽しみ!
でも、ギラン到着後のシーンでファランギースが茶化されたのは残念でした。彼女は、大言は吐くけれど、気を抜く性格ではないと思うのです。ファランギースをクローズアップするなら、独自の要素より、ナルサスの曖昧な態度を嗜める台詞を入れて欲しかったです。