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ちょっと長いですが、区切る所がないので最後までいきます。

【第13場 綱、助かる】
藤の葉と金時の尽力で、綱と姫君たちが助け出される。しかし藤の葉は山に残ると言い出す。言い争う綱と藤の葉の元に、茨木が姿を現し、立ち去るよう言い放つ――

綱が藤の葉に言い放つ「莫迦!」と言う台詞の単純な強さが好きです。
あらすじを書きながら、記憶より胡蝶さんの出番が少なくて、困惑してます。このまま、あらすじ文に彼女を入れないまま終わってしまいますね……。原作に登場しないオリジナルキャラは、どんなに美味しい役に見えても根幹には関わらないって事でしょうか。
四人の舞は、カメラワークが茨木と藤子中心すぎて、ちょっと勿体ないように思います。

【第14場A 茨木と藤子、果てる】
四天王に率いられた都の兵士たちが、大江山に攻め込む――

兵士たちの舞は、もっと勇壮な振り付けでも良かったと思います。整然としているのが、進軍中と言う感じで、あまり戦いの情景に見えません。
茨木がこんな動き難そうな長袴の衣装で戦場に出て来たのは、死に衣装ってことなんでしょうか……。

【第14場B 茨木と藤子、果てる】
酒呑らは山を捨て落ち延びるが、茨木は一人山に残り果てようとする。茨木を救おうとする綱の尽力虚しく、矢が放たれ、飛び出した藤の葉の命を奪う。茨木は藤子を抱いて、滝壺へ身を投げる――

残ると言い出した茨木を思い直させようと、鬼の四天王が結構必死だった事にDVDで初めて気付きました。特に仏@蓮水ゆうやの視線はかなり「!」って感じですね。
藤の葉の命を奪った矢は、DVDで観ると小道具としてあった方が良いですね。
それと、これは観劇時も気になったのですが、藤子の髪の毛が抱き締められるとふわっと左右に広がるのが気になります。大丈夫だと思うけれど、かつらの中が視えちゃいそうで(笑)。
鬼に関しては原作よりかなりマイルドな結末に変更されている分、二人の最期が哀しいです。

【第15場 綱、悲しむ】
燃え尽きた大江山で、綱は茨木と藤子の声を聞く――

このシーンで、綱が涙を流していることに感動しました。片目から一筋の涙を流すのって、ジェンヌの特技なのでしょうか? そして泣きながらだと言うのに安定した音程と声量。素晴らしいですね。
二番手ポジションの公演なのに、芝居ではこの短い一曲しかソロがなくて寂しいです。と言うか、大江山花伝ってあんまり歌のない作品ですね。初演は大劇場だったのに、バウ公演くらいの曲数に感じます。

【第16場 二人、翔ける】
藤の花の下で、茨木と藤子が舞う――

このエピローグがついている御陰で、悲劇だけれど清々しく見終われるのが良い構成だと思います。冒頭もここに繋がる(綱も死んだ後は二人と再会できる)のかなと思えます。
で、DVDを「ALL PLAY」モードで見て吃驚したのですが、ここでスタッフロール流れるんですね。今まで1本物とバウDVDしか持ってないため不明ですが、大劇場の2本立てDVDだとこうなのでしょうか。このDVDは一枚構成なので、少し不思議な感じでした。

あれこれ書いてますが、実は前回(11場)から1場しか進みません。

【第12場A 茨木、告白する】
綱を探す金時は、囚われの姫君たちの中に花園衛門を見つけ、彼女の救出を誓って勇気付ける。二人の姿を見た茨木は、三年前に大江山を逃げ出した時の出来事を思い出す――

すっかり鬼の世界に馴染んでる伊勢式部@鈴奈沙也が好きです。
藤の葉連れだったと言う問題があるにせよ、潜入初日に捕まった綱に比べると、数日かけて山を探索し、人質とも接触している金時の索敵能力は高いですね。

【第12場B 茨木、告白する】
茨木は、ある荘園の奴婢・萱野とこぞ丸と知り合い、三人で暮らそうと考えた。しかし萱野は盗賊に身を落とした恋人・六郎太を助け、荘園を抜け出す。茨木は嫉妬心から逃亡を密告し、二人は追っ手に殺されてしまう。こぞ丸は、茨木を鬼と罵る――

時間を確認したところ、このシーンは5分もありませんでした。原作で1話割いてるエピソードを、この尺に収めてるのは凄い荒技ですね。
六郎太が引っ立てられているシーン、一人でも役人を出してあげたら良かったのでは、と思います。死のシーンは当人たちの演技だけで充分なのですが、引っ立てられてる所はちょっと情景が分かり難いですよね。
密告後の茨木は、褒美を問われて、その瞬間こぞ丸の事を思い出したのかな。彼だけは助けようと思って、けれど当人から非難される。
その瞬間になって、茨木は初めて自分が仕出かしたことを理解したんですね。つまり、密告は衝動的な行為だった。その先にある二人の死まで彼が理解していたのかどうか……。茨木は、こぞ丸よりも子供だったのかもしれません。

【第12場C 茨木、告白する】
自分の中の鬼を知った茨木は、以来、大江山で生きて来たのだ。茨木はその過去を語ると、藤の葉が都へ帰るよう冷たく突き放す――

茨木自身が未だ答えられない「なぜあんなことをしたのか」。私は、茨木は萱野に淡い恋心があったと思います。その萱野が六郎太を選んだ事、そして藤子と巡り会えない自分と、萱野と巡り会えた六郎太。両者への怒りと嫉妬が、茨木の鬼を顕在化させたのだと。
「これが俺の真の姿だ」の三白眼っぷりが最高に格好良いです。
口付けられた藤の葉が泣きながら去るシーン、本気で泣いてるように見えて、さり気ないシーンだけれど凄い演技だなぁと改めて感心しました。

【第10場A 綱、頑張る】
消息を絶った綱を案じ、坂田金時が大江山に忍び込む――

橘少納言は大海亜呼だったんですね! Apasionado!!に出演しているのだから、大江山花伝も出ているはずと思っていましたが、認識できていませんでした。「滝壺に飛び込んで死んでやる!」の瞬間嬉しそうですらあるのが、かなり狂気に振り切れていますね。
ところでこのシーン、タイトルに反して綱はまったく頑張ってないですね!と言うか、出番すらない(笑)。四天王筆頭が金時に奪われるのも時間の問題でしょうか。

【第10場B 綱、頑張る】
綱は、己の元に密かに食事を運ぶ藤の葉に愛を抱く。それを見ぬふりをする茨木に友誼を感じた綱は、藤の葉を妻に迎える考えを打ち明ける。一方、人への災いを非難された酒呑童子は綱を殺そうとするが、茨木は再びそれを庇う――

姫君たちは、繋がれたりしてるわけじゃないんですね。下働き装束以外の服もあるし、どういう生活をしてるのか謎です。
仏たちが乱入した後、綱がかなり強い視線で茨木を見ているのは、憤りのようにも見えるけれど、また庇われたことについて真意を探ってると言う段階でしょうか?

【第11場 父子の童子】
酒呑は大江山の鬼として茨木を鍛えようとするが、茨木は鬼にも、人にもなれない自分の身に苦悩する――

父子の舞は、個人的に最大の盛り上がりどころです。アングルにさほど不満がないのも嬉しく、無駄にリピートしちゃいます。
原作と違って、酒呑の茨木に対する優しさを感じます。基本的には息子の意志を尊重したかったのかなと。けれど、茨木が思うような理想の「人」として生きることは決して出来ないのです。藤子が告白するように、人こそ鬼そのもので、茨木が考えるほど綺麗な生き物ではないから。だからこそ、酒呑は「人として生きること」は「無理」だと断じたのでは。
なにより、「人間の道」として可能なことは、茨木がやがて迎える結末のように「死」のみだから、止めたかったのかなぁ。

【第6場 綱、出立つ】
四天王たちは、まず綱一人が大江山に潜入し、探索の糸口を掴む事にする。支度をする綱に、下女の藤の葉が同行を願い出る。綱は許さないが、藤の葉は「大江山に用がある」と言う――

かなりコミカルなシーン。ここで突然現れた藤の葉に驚き隠れるのは、鬼の妖術を怖がっていた碓井ではなく、卜部の方なんですね。
藤の葉が「大江山にお連れ下さい」と懇願する勢いと、「大江山に用がございます」と答える時の、嘘つき度たっぷりな白々しさ、挙動不審な視線、そして言い切った後の申し訳なさそうな顔が好きです。

【第7場 鬼達、集う】
大江山では、鬼達が姫君たちを侍らせ酒盛りしていた。茨木は酒呑童子に都の襲撃を止めるよう進言するが、酒呑は鬼を迫害した人への復讐だと譲らない――

ここまでの前半は、古い作品の割に意外とテンポが良いお芝居ですよね。1場の区切りが凄く短いので、さくさく感想も進みます。
鬼の重鎮は、役者名が表示されても素顔が思い出せないメイクで、脳内で他の役と結び付けるのに苦労します。
佐渡@天玲美音は、元々かなりシャープな顔付なので、鬼がよく似合ってますね。
胡蝶@花影アリスは本当にはまり役だったなぁと思います。金髪メッシュの日本髪と言うのも、普通は見られないビジュアルで綺麗でした。
酒呑の台詞「お前には私が辛い修行の結果、得た力を与えて〜」と言う台詞、何回聞いても違和感があります。どこかで区切るなら、「お前には、私が辛い修行の結果得た力を与えて〜」ですよね?

【第8場 綱、藤の葉、捕わる】
大江山に探索に来た綱と藤の葉は、見張りの鬼に捕らえられてしまう。藤の葉の火傷を見た鬼たちは彼女を滝壺に落とそうとするが、茨木はそれを止め、綱を杭に繋ぎ、藤の葉を召し使える――

藤の葉の火傷はキーポイントなので、メイクをしても良かったかなぁと思いますが、見ている時は綺麗な方が嬉しいので、難しいですね。
茨木が「父上」と呼び掛けた時に、羽黒が少し驚いた表情をしているので、恐らく茨木は酒呑を父と呼ぶことが殆どなかったんですね。

【第9場 二人、誓う】
茨木は、藤の葉が、人として暮らしていた幼い頃に共に育った藤子姫だと気付く。二人は愛を誓い合った仲だった。だが茨木は大江山に連れ戻され、藤子は大火事に遭って身分を失い、互いを見失ったのだ。茨木の存在を知った藤子が死を覚悟で大江山に来たことを察し、茨木の胸中は揺れる――

少年時代の茨木@綾瀬はるなは、とても可愛いんですけれど、成長した茨木に繋がる色気が皆無ですね。凄く健康的。これは役者の性質でしょうか。
一方、少女時代の藤子@百千糸は、成長した藤子に繋がるのが納得できる雰囲気。台詞がどれもこれも無邪気で可愛らしいのが好きです。
ピンスポで茨木が舞う演出、とても好きですが、藤の精のコロスが奇数人数なのが納得できません。絶対左右の人数が揃ってる方が綺麗だと思うのですが、公演人数の都合で偶数に出来なかったのでしょうか……。

3月はうっかり「シャングリラ」で消費し、次公演も関西遠征を決めてしまったことで、DVD感想を書いてる暇はないと思っていました。が、実際に「トラファルガー」に注力するのは東京公演(7月)になってからと予想できるので、今の内に可能な範囲で進めることにします。
と言う前振りで「カサブランカ」感想かと思わせておきながら、今更「大江山花伝」です。
なお、「Apasionado!!II」のDVD感想は2009年12月辺りをご確認下さい。

大江山花伝

【第1場 プロローグ—夢の藤波—】
藤の花の下で、鬼と人の男女が舞う――

半年近く前の話になりますが、このDVDが届いて最初に見た時点の第一印象は「茨木、痩せてるなぁ」でした。月組時代は丸顔だと思っていたのに、宙組に異動してからは少し面長になったような気がします。
それにしても人間の記憶とは面白いもので、観劇したのはお盆なので、DVD通りに鬘が整え直された後だったはずですが、写真や出版物では初日の髪の毛がボサっとしてる茨木が主流で、それを見慣れてしまったため、綺麗な鬘姿に違和感を感じます。
でも後半日程に撮影されたDVDって、嬉しいですね。

【第2場 酒呑童子、襲う】
大江山の酒呑童子率いる鬼が都を襲い、姫君たちが攫われる――

舞台初見のとき、重厚な日本物のつもりで観劇していたのに突然特撮風の、有り体に言えばチープな演出(+エレキギター音)に変わって、どう反応したら良いのかよく分からなかったシーンです。
呵々と言う笑い声、録音だと思うのですが誰の声でしょうか。酒呑童子とは違う、どちらかと言うと茨木の声のような……。
四天王たちは、卜部季武@鳳樹いちと碓井貞光@澄輝さやとの違いが分かっていなかったのですが、DVDだと顔が良く判別できて、見分けられるようになりました。一方、鬼の皆さんはメイクが濃過ぎて、DVDでもこの段階では誰が誰だか分かりません。

【第3場 勅命、下る】
源頼光の「四天王」と呼ばれる渡辺綱、坂田金時ら武人に鬼退治の勅命が下る。綱は大江山の鬼との因縁を思い出す――

若武者と言う感じの渡辺綱。ルノー(カサブランカ)や海(シャングリラ)の後に見直すと、男前で吃驚。メイクが歌舞伎風で、かなり目尻が切れ上がっているので、猛々しく見えます。
ところで、源頼光って、この作品のように実際に「みなもとのらいこう」と呼ばれていたんでしょうか? 少し疑問です。

【第4場 戻り橋で、斬る】
一月前、一条橋で綱は女郎に呼び止められた。女郎を鬼と見破った綱は、妖術に苦しめられつつも鬼の片腕を切り落とす。鬼は大江山の茨木童子と名乗った――

茨木に遣える宙組93期コンビを完全に認識している現在見直すと、女性声で演技している春風と秋風が愉快でなりません。でも、茨木の声がシナを作ってる男にしか聞こえないことの破壊力は更に上でした。
刀と短刀の打ち合いは少し怖いですが、茨木は妖術を使う分、あまり動かなくても強く見える辺りが良い役ですね。勿論、やられ役の綱が凄く巧く妖術に掛かってくれている御陰でもありますが。
春風と秋風が大急ぎで装束を着替えて出て来ていることをDVDで初めて知りました。直ぐ暗転しちゃうのに、意味はあるのだろうか……。

【第5場 茨木、取り返す】
鬼の腕を持ち帰った綱の元に、魔除け祈願の行者が遣わされる。しかしその行者は茨木が化けた姿であった為、腕を取り返されてしまう――

藤の葉が登場。野々がきちんと美人に見えます。率直な感想を言うと、素顔は普通のあまり垢抜けない少女なので、美人に見えるのが不思議だなぁと思います。和物が似合うと言う要素もあるでしょうけれど、化け方が凄い。
四天王より衣装持ちだった春風と秋風ですが、左近少輔の従者を装っている時のこの衣装が一番好きです。
同時に、正体を現した茨木の金色の忍者風衣装は、何回見ても見慣れない、これだけはないなぁと思う衣装です(笑)。しかもポージングしたまま横スライドで消える演出が笑いを誘うんですよね。