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 混乱する人々の喧噪を余所に、ヒョンゴは輝きの失せた神器を見下ろし、ひとり思索の中に沈んでいた。
 伝説に曰く、チュシンの王が憤る時、神器は光を発すると言う。
 そして今日、十数年前の夜と同じ真白い輝きがこの玄武の神器から発せられた。
 あの場に王がいたのだ。
 やはりヨン・ホゲか、それとも――
 天地神堂の巫女の手を取り雑踏の中に消えてしまった青年の横顔が、ヒョンゴの脳裏に浮かんだ。彼を知った時から密かに感じていた希望のようなものが、確かな期待に変わる。だが、真の王を護る使命を遠い熊族の祖から受け継いだコムルの民を、憶測や直感で導く事は許されない。
「お師匠様、どうする?」
 娘の問いに答える前に、ヒョンゴはもう一度導きの光を願い神器に視線を向けた。
 だが神器は黙して語らない。行き先を決めるのは、人の務めである。
「……タムドク様を追う」
「そうこなくっちゃ!」
 黒朱雀の徴を抱いて産まれた娘は満面の笑みで応えた。
 それが正しい選択であるのか、ヒョンゴには分からない。けれど神の心が分からないならば、せめて己の心に従いたかった。


タムドクとヒョンゴが知り合っていなかったら、お話が大幅に狂って大変な事になりますね。テジャ城で終わっていた可能性もあるのか。
それはヒョンゴ一人との出逢いに限ったことでなく、タムドクは自分の運命を切り開く為に必要な人材が偶然=必然的に集まってくるんですね。これぞ主人公補正。物語を紡ぐ為の登場人物たちは、互いに惹き合い、一カ所に集まるのです。

早くも星組版の配役が発表されましたね。1ヶ月公演って、早いな!もう今月末から月組エリザなのか!
星組生が大量退団の影響でまったく分からなくなってしまったので、自分用に花組配役との比較表作って予習中です。
花組になかったヤン王の前の王「ソスリム王」が出て来るので、お話は大分変わりそう。ヒョンゴの年齢もドラマ並に上がって、年齢関係はすっきりするかも。しかしチュムチの比重は重くなりそうなのにタルビ役がいない謎。
星組版公演初日までの完遂目指して、花組版の感想を続けます。

【第12場 ポンファ通り】
ヤン王の快気祝いとして、高句麗の五部族の長の息子たちによる武道大会が開かれることになる。
お忍びで街に出たタムドクは、スジニ達と知り合う……

コムル三人組が見事なリードで歌う楽しい導入。ただし、5場に比べるとモブの動きが固定的ですかね。真ん中の芝居があって、その周りにモブを配置って感じが多いように思います。
チュムチ@朝夏が冒頭からモブの中に参加しますが、ちゃんと「顔キャラ」だと分かる目立ち方で、さすがスター候補生。髪の毛が凄いトサカだってるのも一因でしょうけどね。ちなみに、収録日は取り返した財布で黒籤を買ったみたいです。
籤を買う為に並ぶ人々が色々小芝居やってるそうなのですが、あまり見ていた記憶がなく、観劇時何処見てたのかちょっと自分でも謎です。11場の「炎の巫女」で魂抜かれて、意識が戻って来てないのかな……。
スジニがちゃんと財布をスってることに、DVDで気付きました。なんでこんな簡単な展開を見落としてたんだろう。
ピンクの衣装が目立つチャンミ@華耀きらりは、ホゲ様がお気に入りだった遊女ですね。「この頃ちーっとも顔を見せないのよぉ」と拗ねるのがもの凄く可愛いです。華があるし、銀ちゃんの恋で朋子役だった事を思い出すと舞台度胸も芝居心もあるので、これから楽しみな娘役。新人公演主演をしてないらしいのが残念です。
タムドクとスジニが飲みに行って、トラジの店はやはり唯のお酒飲む店だなと気付くのと入れ違いに、パソンが成長後姿で登場。一曲歌って踊る姿のキレは流石です。ただ、桜一花は芝居上手だと思っていた期待の裏返しか、台詞が一本調子に聞こえてしまいました。役の姉御肌な雰囲気を出す為かも知れませんけれど、少し張り過ぎじゃないでしょうか。
あと、パソンがチュムチを「シウ部族」と呼びますが、チュムチはセドルと同世代のキャラ作りなので、初見の時は五部族の部族長の息子の一人なのかと思ってました。後で重要なキーワードになる訳でもないので、別の台詞に変えてくれると、引っ掛からなくなって良いかと。
「都会でブイブイ言わせてる」の身体張った寒いギャグは、東京だとウケてた印象ですが、収録日のお客さんはあんまり反応してませんね。「タムタム」の件も全然反応してないし、音声編集しすぎでは。
チョルロ部族に、東北弁訛りを喋らせたのは白眉だと思います。セドル@月央和沙は立ち姿は格好良いのに、喋ると朴訥で真面目な田舎者が丸出しってのが良いですね。
そして、セドルとチュムチを嗾けておきながら自分は回避するイルス。相変わらず出てくるだけで身悶えしてます。赤と黒の衣装、凄い似合ってますよね。陰陽五行を無視してケマ部族が赤で良かった! ただ、ここで目に付いたのですが、日向は喋りが激しいので、動作なしで台詞を言えるようになって欲しいかな。舞台なら多少やり過ぎても広さで中和されますが、映像の場合は過剰に見えますね。
にしても、何故イルスはパソンの所に槍を発注したのでしょうね。ケマ部族御用達の鍛冶屋はいないのかな。だとしても、悪事なのだから、製作後にパソンを拉致なりするべきだったのでは。この辺のツメの甘さがイルスかなぁ。
チュムチとセドルの喧嘩は、同期同士だからか、手加減なしで良いですね。
さて、タムドクは、一般人に紛れて武道大会観戦に行ってしまいましたが、王の快気祝いと言う一大行事に、王子が公式に出席してなくて良いんでしょうか……。

【第13場 高句麗一武道会】
武道大会でホゲが卑怯な手段を使い優勝しようとしている事を知ったタムドクは、チョルロ部族の補欠と偽って勝負に参加し、ホゲの悪事を暴く。しかし同時に正体がばれ、王子が一部族に肩入れした罪から糾弾される。ヤン王はタムドクを謹慎させた上で、謹慎後には王位を譲ると宣言する。だがタムドクは王位継承の放棄を宣言し、キハと共に逃げ出す……

各部族色にまとめた4人ずつのチームが、それぞれ紹介と共にダンスする13場導入。最高に格好良いシーンを大空センターで見られることに、小池先生へ改めて感謝しつつ、この1分程度のコーラスばかり何度も見返してしまいます。振り付けは黒軍が一番好み。
それにしても部族長の息子達は、ソノ部族:浦輝ひろと(89期)、スンノ部族:瀬戸かずや(90期)、カンノ部族:輝良まさと(91期)、チョルノ部族:月央和沙(88期)と若手揃いで、ケマ部族:大空祐飛(78期)が此処に同年代の顔で混ざってる事に対して、どちらを賞賛すれば良いのかちょっと悩みます。
あと、ここで銀橋芝居が入るために、本舞台でキハが踊ってる事が気付きにくいのはどうしたものでしょう。良いのかな?
「皆待ってる、ヨン・ホゲを」の後のコーラスが何と歌ってるのか分からず、字幕が欲しかったなぁと改めて思います。
一方、大会の観客の声は、舞台では全然聞こえなかったのですが、DVDだと音声編集の為か、鮮明に聞こえますね。でも、タムドク周辺の人々の声が中心で入ってるので、ホゲ様を応援する女の子達の声が聞こえなくてガッカリ。これはファンだからと言うより、シナリオ上の演出として一考願いたいところ。
赤軍は、イルスとチョクファン以外のもう一人が誰なのか謎に思ってましたが、鳳真由なんですね。新公ホゲだから彼女が選ばれたのかな。大会中5秒程その赤軍三人だけで踊るシーンがありますが、視線を釘付けにするのは全ての動作が機敏でビシっと決まってるイルス。チョクファンは身体の使い方が大きくて優雅。鳳は動きは付いていってるけど、アピール力はまだこれからかな?
ホゲが無敵過ぎて、仕掛け槍を使用する必要性は感じられません。原作だとホゲ自身ではなく周りが勝手にした事だそうですし、実際それでも問題ない展開だと思います。でも、自分から道を踏み外したと言う形の描写に敢えて変更してるんでしょうね。そうそう、仕掛け槍で攻撃すると、打ち合った瞬間相手の槍が折れたり、と非常に細かい小道具使いをしてることにはDVDで初めて気付きました。この舞台、道具が多くて本当に大変ですよね。
DVDでは、ホゲが本舞台に戻ってきた所で、一瞬客席のプルキルを挿入しているのですが、なんだかその満足そうな顔が、自分の剣闘士奴隷の活躍にご満悦な様子に見えました。昨日のSS解釈でいけるかも!
「赤軍勝利」が宣言された瞬間、ホゲがすごく晴れやかな笑顔を見せて、これが最後の笑顔なんだなぁと思うと凄く胸が痛くなります。
タムドクが王位継承放棄を宣言すると、ヒョンゴが杖を手に持って凄く悲しそうな、難しい表情しているのですが、この演技、良い表情なんだけど、私は文句を付けたいです。ヒョンゴは、この時点で既にタムドクがチュシンの王かも知れないと思い始めてる顔ですよね。でも生まれた日の事は知らないんだから、このシーンで玄武の神器が光ったのは、ホゲの怒りだと思う方が妥当の筈。現に、プルキルは本気か騙されてか謎ですが、ホゲの怒りで朱雀の神器が光ってると宣言してますしね。
ただ、これは未涼の解釈と言うより小池先生自身が「タムドクがチュシンの星の夜に産まれた事は秘密」と言う設定を、時々都合良く忘れて、時々思い出し、と言う形で使ってるように思えてなりません。

 女は死の床で呪いの言葉を吐いた。
 プルキルは、若者の瞳が薄暗い雲に覆われ陰っていく様を見た。後は、その背を押すだけで良かった。伸ばした手で触れると、チュシンの星の祝福を受けた魂は抵抗なく闇の中に落ち、その輝きを失った。
 これで、王は半身たる将を失った。
 さて、プルキルがもぎ取った牙は、本来の主を喰い千切ることが出来るだろうか。


プルキルは、ホゲがチュシンの王でないと完全に発覚した二幕後も、ずっとホゲに対し「ホゲ様こそチュシンの王」と吹き込み(そして嫌がられてる/笑)、かなりの財をつぎ込んでるようですが、どんな思惑でホゲを王にしようとしたのでしょうか?
パターン1・最初は本気でチュシンの王だと思っていた
パターン2・最初からチュシンの王ではないと思っていたが、利用する為に唆した
あれだけ大きい存在感を放つ悪役で、キハを除けば作中唯一の魔術士であるプルキルが、パターン1「真の王を読み間違った」とするのは、ちょっと悲しかったので、パターン2「初めから企みごと」で検討した結果が、このお話。
一応、脚本は変えずに、この方向で解釈する事が可能でした。
真のチュシンの王は、そう容易く思い通りに動かせないだろうと踏み、ホゲを王にすることで、目覚めた神器だけを頂こうと言う画策。うん、そうすればプルキルの恐ろしさ、強さは揺らがない。星組版はこの方向でいきませんか!?

ようやく幕が空いてから50分経ちました。あと2/3だ!

【第9場 運命】
セームの死を知ったタムドクは自責するが、キハが慰める。いつしか二人は想いを寄せ合う。しかしプルキルはキハを操り、ホゲへ近付くよう命じる……

小池先生名物、歌ってる間にメインの話題がすり替わる銀橋ソロ。
前回書いた通り、8場の解釈を間違っていたので、ここで悲痛に歌われても、と思っていました。「親友を失った」って、セームを死に追いやるつもりがなかったなら、誤解を解こうと努力すれば良いのに、速攻卑屈モードに入ってるものだから、手に負えない人だなぁ。
この辺は完全に脚本の問題かなと思います。雰囲気に流されると「タムドクが可哀想」って気になるのですが、それは完全に役者の力。折角良い芝居してるのだから、脚本も整合性のとれた物にしてあげたいとつくづく思います。
で、キハを詰問するプルキルは、やはり「ヤン王を殺してホゲを王位に就ける」計画に一役買ってたのかなと思います。でも火天会って、王宮の中にも相当数忍び込めるし、毒殺なんて面倒なことしなくてももっと簡単に簒奪出来るのに、やりたいことがいまいちよく分からない悪役です。
しかも、ホゲをチュシンの王だと本気で思っているのか、それともコマとして役立てるつもりなのかも謎。脚本は後者のつもりで書いて、でも壮は前者の解釈で演じてる、と考えてしまうくらい腑に落ちなさ加減があります。でも小池先生は演技指導厳しいそうなので、解釈違いって事はない筈ですよね。巧く咀嚼出来ない私がおかしいのかなぁ。

【第10場 ヨン家・セームの通夜】
セームの密葬が行われるヨン邸で、プルキルに操られたキハは「ホゲこそチュシンの王」と朱雀の神の託宣を下す。ホゲはキハに心奪われる。
ヨン・ガリョはプルキルに唆され、タムドクを陥れる罠を計画する……

大空アングルは、私の観劇時オペラ視点とまったく同じです。微妙に白目剥いてるのも愛おしいのは重傷ですな。
腰掛けて項垂れた後、父親達の企み話は耳にしつつも自分の中の整理に忙しくて聞き流してるのに、プルキルの「タムドクの仕業と見せ掛ける」の台詞で、初めて顔を上げるのが、タムドクへの友情を感じさせて好きです。父親が陰謀に同意する瞬間少し驚いた素振りがあって、やはり息子から見ても、ヨン・ガリョ自身は野心の薄い比較的善良な貴族だったのだろうと思います。
ホゲはタムドクと違って自己主張できる若者なのに、陰謀に対して言い募らないのは、母親の事を持ち出された為ですね。マザコンなのか。
彩音を美人だと思った事はないですが、キハの炎の巫女衣装は、髪型も凝っていて綺麗だと思います。キハは美女でないと説得力に欠けるので、。
キハと二人で話すシーンは、表情がちょっと子供時代に戻ってる時があるのと、キハが気を失った後から退室するまでは、ずっと彼女の顔から目線が外れない辺り、ホゲの中で凄く大きな存在として残ったのだと感じて可哀想になります。
その言葉を真実か、と何度も疑っているのに、それでも縋らずにいられない。
ところで、リピート6回目くらいに、捏造の神が降臨しました。
ホゲは、タムドクがチュシンの王だと気付いてるのでは? だから、キハが既に「ホゲがチュシンの王」と偽神託を下しているのに、何度も執拗に「タムドクはチュシンの王なのか」と聞くんですよね。でも、彼女は答えをくれなかった。本当は自分は王でない筈と思いつつ、炎の巫女の神託通りの道を行こう、だから巫女がその道を照らしてくれ、と言う歌なのでは。とすると、キハがタムドクと駆け落ちした展開は、ホゲにとって最大の裏切りになるのですが、それはまたその時の感想で。
あと「正しく王座を得たい」と言う割に、このあと武道大会で特製槍を使う辺りにホゲの考える正しさが見えなくて観劇中謎だったのですけれど、「正しく」は、正しい手段のことではなく、王になる事自体に掛かってるような気がしてきました。
それにしても「炎の巫女」はユウヒのキーに合ってるのか、素直に歌えてると思います。良い歌だ!
でもこの曲だけ何度もリピートしてたら家人に見つかり、「壱埜のご贔屓って、歌はうまくないんだね」と非ファンらしく的確な批評を頂いてしまいました。しかし「ダンスより歌の方が巧いと思う」と返答してしまったあたり、私も正直者です。

【第11場 ヤン王の寝室】
ヤン王は、タムドクが聡明な面をヨン・ガリョに明かしてしまった事を咎め、キハの素性も疑って面会を禁じる。タムドクは、人を疑わねばならないような王にはなりたくないと考える……

ただの思い付きですが、市井の男に云々と言う話は、9場から此処に移しても良いのではないでしょうか。まぁ、此処ではキハに意見を聞けないから無理な相談ですが。
それにしてもヤン王の「王は他人を信用するな」主張は、敵の多い王者としては当然の姿勢ですけれど、物語の主人公の父親としては、ちょっと問題があるような……。原作ドラマでの理由を教えて頂いたので、タムドクを思う親の愛ゆえと分かるのですが、夢の世界である宝塚の物語的には合ってないよなーと思ってしまうのです。

熱演に阻まれて1場しか感想が進みませんでした。

【第8場 ヨン・ガリョ邸】
ヨン邸では、西域の商人を名乗るプルキルや五部族会議の族長を招いて酒宴が開かれていた。そこに王暗殺の主犯を突き止めたタムドクが現れ、セームと対峙する。罪を暴かれたセームは、ホゲに「チュシンの王になれ」と遺言し自死する……

まず先に告白します。このシーンの説明に悩んで、プログラムの粗筋を読み、眼から鱗が落ちました。
タムドクには、セームを自死させる気がなかったんですね!
いや、毒の瓶を持って来る、医者は極刑に処したと言う語気の強さ、タムドクの台詞の溜めっぷり、と言った要素から「(貴方が自害すれば)ヨン家の名誉は保たれる」的な解釈してしまって……。これは真飛の演技がどうというより、台詞回しの問題も多分にあると思いますので、星組でどうなるか観ておきたい所です。

セームからは、女性としても野心家としても円熟期を迎えている様子を感じます。DVDで観ると皺一つなくて役者自身が若い事はよく分かるのですが、ホゲの母親の風格があって、組長の妻役で違和感がないと言う素晴らしさ。
その夫、ヨン・ガリョ@夏美は、野心がない人だなぁと思います。セームの野心がなければ、唯の大貴族で終わってたのでは、と思う人柄。
そして、観劇中終始立場が疑問だったチョ・ジュド@紫峰。偶然紫峰七海お茶会レポートを拝見してから、積極的な悪巧み担当である事はよく分かりました。でも、ヨン家の家司の筈なのに、妙に態度が大きいのは変わらず疑問。個人的には、宰相とか言われた方が納得です。王を傀儡にしようという悪の宰相は、ファンタジーのお約束ですしね。
ここで登場する麗しい部族長たちは、DVDで観ても、生えてるとしか思えない見事な美髭です。部族ごとに色分けしたのは良いアイデアですよね。でも微妙な疑問もあり、例えばケマ部族は赤服ですけど、陰陽五行なら中央は黄色の筈。その辺は五行を参考にしつつも舞台見栄え優先したということかな。
お髭の一行に併せて、プルキルも此処から髭+三つ編みver.で登場。2000年の歳月で年老いていたのに若返ってる謎があるものの、気にする必要もないと思うほど、壮一帆の美貌に唖然としました。雪組時代は、壮にコスチュームプレイが似合うなんて想像もしてなかったんですけどね。

宴の途中にタムドクが訪問した以降、セームが見せる不機嫌で疎ましげな表情が怖くて、タムドクは良く平気で相対してるなぁと思うのですが、「もし私が男なら王になっていた!」の絶叫の後は、さすがにちょっと退いてますよね。
「帰れ!」と泣き叫ばれて、タムドクはセームが死を選ぶ事を理解したように思います。だから、帰り際にホゲと擦れ違って、動揺する。ここで何も語らずに帰ったのはタムドクの痛恨のミスなんですけど、タムドクって自己主張が出来ない子供なのかも。死なせる気がないなら、セームをもっと説得すべきだったし、ホゲから誤解された後も、話をするべきだった。でもそうしないのは、タムドクの全幕通しての性質に見えてきました。要するに、気が弱いのかな。

帰宅して来たホゲ様は、ご機嫌っぷりとイルスを連れてる所から、トラジの店の帰り?
注目のイルスは、タムドクと擦れ違った後、ホゲ様と顔を見合わせてるのが可愛いです(そして毎回このシーンで、日向燦の身長が高い事に気付き吃驚します)。音声良い環境だと「何をしにいらしたんでしょう」と話してるのが聞こえて思わずニンマリ。チョクファンもイルスも、武道大会にケマ部族として出場してるから、同じ部族で同じような階級なのでしょうけれど、より「職業軍人」ぽいチョクファンに比べると、イルスはホゲ様の乳兄弟とか友達感覚の部下っぽいなぁと勝手に思ってます。
ホゲ様の後にぴったり付いてるけど、両親が出て来て家庭内の会話かな、と判断すると一歩退くんですね。
カメラアングルのせいで、ホゲがどんな表情でセームの言葉を聞いているのか、よく分からないのが残念! 観劇時も2度とも下手で良く分からなかったから、観たかったです。

黙って見下ろしたままのプルキルは、はて何を考えているのか。目線がセームにあるのか、ホゲにあるのか、それぞれのパターンで想像すると話が広がって楽しいです。この辺の一案は、また書けたらSSでも、と予定。
ちなみに倒れるセームの為に、なぜかカンノ部族長@夕霧がさり気なく椅子を並べてくれてるのが好きです。客なのに甲斐甲斐しい男(笑)。