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ようやく幕が空いてから50分経ちました。あと2/3だ!

【第9場 運命】
セームの死を知ったタムドクは自責するが、キハが慰める。いつしか二人は想いを寄せ合う。しかしプルキルはキハを操り、ホゲへ近付くよう命じる……

小池先生名物、歌ってる間にメインの話題がすり替わる銀橋ソロ。
前回書いた通り、8場の解釈を間違っていたので、ここで悲痛に歌われても、と思っていました。「親友を失った」って、セームを死に追いやるつもりがなかったなら、誤解を解こうと努力すれば良いのに、速攻卑屈モードに入ってるものだから、手に負えない人だなぁ。
この辺は完全に脚本の問題かなと思います。雰囲気に流されると「タムドクが可哀想」って気になるのですが、それは完全に役者の力。折角良い芝居してるのだから、脚本も整合性のとれた物にしてあげたいとつくづく思います。
で、キハを詰問するプルキルは、やはり「ヤン王を殺してホゲを王位に就ける」計画に一役買ってたのかなと思います。でも火天会って、王宮の中にも相当数忍び込めるし、毒殺なんて面倒なことしなくてももっと簡単に簒奪出来るのに、やりたいことがいまいちよく分からない悪役です。
しかも、ホゲをチュシンの王だと本気で思っているのか、それともコマとして役立てるつもりなのかも謎。脚本は後者のつもりで書いて、でも壮は前者の解釈で演じてる、と考えてしまうくらい腑に落ちなさ加減があります。でも小池先生は演技指導厳しいそうなので、解釈違いって事はない筈ですよね。巧く咀嚼出来ない私がおかしいのかなぁ。

【第10場 ヨン家・セームの通夜】
セームの密葬が行われるヨン邸で、プルキルに操られたキハは「ホゲこそチュシンの王」と朱雀の神の託宣を下す。ホゲはキハに心奪われる。
ヨン・ガリョはプルキルに唆され、タムドクを陥れる罠を計画する……

大空アングルは、私の観劇時オペラ視点とまったく同じです。微妙に白目剥いてるのも愛おしいのは重傷ですな。
腰掛けて項垂れた後、父親達の企み話は耳にしつつも自分の中の整理に忙しくて聞き流してるのに、プルキルの「タムドクの仕業と見せ掛ける」の台詞で、初めて顔を上げるのが、タムドクへの友情を感じさせて好きです。父親が陰謀に同意する瞬間少し驚いた素振りがあって、やはり息子から見ても、ヨン・ガリョ自身は野心の薄い比較的善良な貴族だったのだろうと思います。
ホゲはタムドクと違って自己主張できる若者なのに、陰謀に対して言い募らないのは、母親の事を持ち出された為ですね。マザコンなのか。
彩音を美人だと思った事はないですが、キハの炎の巫女衣装は、髪型も凝っていて綺麗だと思います。キハは美女でないと説得力に欠けるので、。
キハと二人で話すシーンは、表情がちょっと子供時代に戻ってる時があるのと、キハが気を失った後から退室するまでは、ずっと彼女の顔から目線が外れない辺り、ホゲの中で凄く大きな存在として残ったのだと感じて可哀想になります。
その言葉を真実か、と何度も疑っているのに、それでも縋らずにいられない。
ところで、リピート6回目くらいに、捏造の神が降臨しました。
ホゲは、タムドクがチュシンの王だと気付いてるのでは? だから、キハが既に「ホゲがチュシンの王」と偽神託を下しているのに、何度も執拗に「タムドクはチュシンの王なのか」と聞くんですよね。でも、彼女は答えをくれなかった。本当は自分は王でない筈と思いつつ、炎の巫女の神託通りの道を行こう、だから巫女がその道を照らしてくれ、と言う歌なのでは。とすると、キハがタムドクと駆け落ちした展開は、ホゲにとって最大の裏切りになるのですが、それはまたその時の感想で。
あと「正しく王座を得たい」と言う割に、このあと武道大会で特製槍を使う辺りにホゲの考える正しさが見えなくて観劇中謎だったのですけれど、「正しく」は、正しい手段のことではなく、王になる事自体に掛かってるような気がしてきました。
それにしても「炎の巫女」はユウヒのキーに合ってるのか、素直に歌えてると思います。良い歌だ!
でもこの曲だけ何度もリピートしてたら家人に見つかり、「壱埜のご贔屓って、歌はうまくないんだね」と非ファンらしく的確な批評を頂いてしまいました。しかし「ダンスより歌の方が巧いと思う」と返答してしまったあたり、私も正直者です。

【第11場 ヤン王の寝室】
ヤン王は、タムドクが聡明な面をヨン・ガリョに明かしてしまった事を咎め、キハの素性も疑って面会を禁じる。タムドクは、人を疑わねばならないような王にはなりたくないと考える……

ただの思い付きですが、市井の男に云々と言う話は、9場から此処に移しても良いのではないでしょうか。まぁ、此処ではキハに意見を聞けないから無理な相談ですが。
それにしてもヤン王の「王は他人を信用するな」主張は、敵の多い王者としては当然の姿勢ですけれど、物語の主人公の父親としては、ちょっと問題があるような……。原作ドラマでの理由を教えて頂いたので、タムドクを思う親の愛ゆえと分かるのですが、夢の世界である宝塚の物語的には合ってないよなーと思ってしまうのです。

熱演に阻まれて1場しか感想が進みませんでした。

【第8場 ヨン・ガリョ邸】
ヨン邸では、西域の商人を名乗るプルキルや五部族会議の族長を招いて酒宴が開かれていた。そこに王暗殺の主犯を突き止めたタムドクが現れ、セームと対峙する。罪を暴かれたセームは、ホゲに「チュシンの王になれ」と遺言し自死する……

まず先に告白します。このシーンの説明に悩んで、プログラムの粗筋を読み、眼から鱗が落ちました。
タムドクには、セームを自死させる気がなかったんですね!
いや、毒の瓶を持って来る、医者は極刑に処したと言う語気の強さ、タムドクの台詞の溜めっぷり、と言った要素から「(貴方が自害すれば)ヨン家の名誉は保たれる」的な解釈してしまって……。これは真飛の演技がどうというより、台詞回しの問題も多分にあると思いますので、星組でどうなるか観ておきたい所です。

セームからは、女性としても野心家としても円熟期を迎えている様子を感じます。DVDで観ると皺一つなくて役者自身が若い事はよく分かるのですが、ホゲの母親の風格があって、組長の妻役で違和感がないと言う素晴らしさ。
その夫、ヨン・ガリョ@夏美は、野心がない人だなぁと思います。セームの野心がなければ、唯の大貴族で終わってたのでは、と思う人柄。
そして、観劇中終始立場が疑問だったチョ・ジュド@紫峰。偶然紫峰七海お茶会レポートを拝見してから、積極的な悪巧み担当である事はよく分かりました。でも、ヨン家の家司の筈なのに、妙に態度が大きいのは変わらず疑問。個人的には、宰相とか言われた方が納得です。王を傀儡にしようという悪の宰相は、ファンタジーのお約束ですしね。
ここで登場する麗しい部族長たちは、DVDで観ても、生えてるとしか思えない見事な美髭です。部族ごとに色分けしたのは良いアイデアですよね。でも微妙な疑問もあり、例えばケマ部族は赤服ですけど、陰陽五行なら中央は黄色の筈。その辺は五行を参考にしつつも舞台見栄え優先したということかな。
お髭の一行に併せて、プルキルも此処から髭+三つ編みver.で登場。2000年の歳月で年老いていたのに若返ってる謎があるものの、気にする必要もないと思うほど、壮一帆の美貌に唖然としました。雪組時代は、壮にコスチュームプレイが似合うなんて想像もしてなかったんですけどね。

宴の途中にタムドクが訪問した以降、セームが見せる不機嫌で疎ましげな表情が怖くて、タムドクは良く平気で相対してるなぁと思うのですが、「もし私が男なら王になっていた!」の絶叫の後は、さすがにちょっと退いてますよね。
「帰れ!」と泣き叫ばれて、タムドクはセームが死を選ぶ事を理解したように思います。だから、帰り際にホゲと擦れ違って、動揺する。ここで何も語らずに帰ったのはタムドクの痛恨のミスなんですけど、タムドクって自己主張が出来ない子供なのかも。死なせる気がないなら、セームをもっと説得すべきだったし、ホゲから誤解された後も、話をするべきだった。でもそうしないのは、タムドクの全幕通しての性質に見えてきました。要するに、気が弱いのかな。

帰宅して来たホゲ様は、ご機嫌っぷりとイルスを連れてる所から、トラジの店の帰り?
注目のイルスは、タムドクと擦れ違った後、ホゲ様と顔を見合わせてるのが可愛いです(そして毎回このシーンで、日向燦の身長が高い事に気付き吃驚します)。音声良い環境だと「何をしにいらしたんでしょう」と話してるのが聞こえて思わずニンマリ。チョクファンもイルスも、武道大会にケマ部族として出場してるから、同じ部族で同じような階級なのでしょうけれど、より「職業軍人」ぽいチョクファンに比べると、イルスはホゲ様の乳兄弟とか友達感覚の部下っぽいなぁと勝手に思ってます。
ホゲ様の後にぴったり付いてるけど、両親が出て来て家庭内の会話かな、と判断すると一歩退くんですね。
カメラアングルのせいで、ホゲがどんな表情でセームの言葉を聞いているのか、よく分からないのが残念! 観劇時も2度とも下手で良く分からなかったから、観たかったです。

黙って見下ろしたままのプルキルは、はて何を考えているのか。目線がセームにあるのか、ホゲにあるのか、それぞれのパターンで想像すると話が広がって楽しいです。この辺の一案は、また書けたらSSでも、と予定。
ちなみに倒れるセームの為に、なぜかカンノ部族長@夕霧がさり気なく椅子を並べてくれてるのが好きです。客なのに甲斐甲斐しい男(笑)。

ホゲが登場してない場面が続く事もあり、なるべく纏める方向で書こうと思いましたが、第8場を入れると異常に長くなるので割愛。ホゲ様登場シーンとそれ以外の文章量&熱意が違うのは、仕様です。

【第5場 国内城下〜ポンファ通り】
ヒョンゴとスジニは国内城下の街で、コムルの民が仕えるべきチュシンの王を探していた。
ヤン王は重い病の床にあった……

色々な小芝居が盛り込まれていて、何個も目が欲しいポンファ通りですが、押さえないといけないポイントを絞るとこんなにコンパクトに。
上記シーン説明で名前を省いたヒョンミョン@望海は、実年齢の影響で若者印象ですが、実際の役の年齢は恐らくヒョンゴ村長と同世代ですよね。そのヒョンゴは、三十代だろうなぁと推定。ヒョンミョンは、二十代前半がいいとこかな。まぁ、老け役が多い芝居なので、若い子が問題ない範囲で若い役作りするのは良いと思います。
尚、ヒョンミョンが鴨を売る口上「煮たり焼いたり刺身にしたり」で初回は吃驚したのですが、鴨刺身って普通に存在するんですね。ちょっとお味が気になります。
舞台は遊女たちの登場で、一気に華やかに。ポンファ通りって、観劇中はメインストリートみたいな印象を持っていたのですが、遊郭が面してるっておかしいですね(笑)。どう見ても真昼間なのにホゲ様も堂々と入って行くしなぁ。遊女と言っても、キャバクラ程度のものなのかも知れませんね。まぁ、遊女って時点ですみれコードに抵触してるので、あまり考えない方が良さそう……。
ポンファ通りに現れるホゲ様の服は、ここだけの衣装みたいですね。一応お忍び風なのかな。その割に部下引き連れてますが。豪華な衣装は他に沢山あるけれど、なんだか貴重な茶系の服で、個人的にお気に入りです。
で、ここから登場するイルス@日向が可愛くて堪りません。ポンファ通りでホゲ様に「どうします?」と尋ねた時から期待顔。「一時間だけだぞ」が出ると、満面の笑みでガッツポーズしてからお気に入りの遊女の腰に手を回してるのが可愛い。
スジニの「格好よくて強そう」評には、どうしても違和感が付きまといます。格好良いはファンだから同意しますが、大空氏はただ歩いてる姿だけでは強そうに見えないです。次回星組版ホゲ役の凰稀かなめにもこの台詞があったら、たぶん私は客席でズッコケるでしょう。
通りすがりのサリャンがヤン王の病気のことを声高に説明するのは、わざとだと思うのですが、話し掛けられなかったらどう広めるつもりだったのか、と言う疑問を考えると、単なる偶然? とは言え、プルキルは五部族の長たちに紹介される前からヨン家に出入りしていた様子なので、セームの毒殺計画を後押ししていた可能性も否定出来ません。
色々なキャラを登場させた上で、次の展開へ続く説明で〆るシーン作りは、飽きさせないし無駄がなくて良いですね。この公演に関しては、がっつり組んだ少人数芝居より、こういう群衆シーンが楽しくて何度もリピートしてます。

【第6場 王宮の回廊〜書庫】
【第7場 ヤン王の寝室】
王宮内の書庫で、タムドクは天地神堂の見習い巫女キハと知り合い心を許す。
タムドクの依頼でヤン王の容態を看たキハは、王の侍医がトリカブトを投与している事に気付く……

前場で「文字も読めない」と揶揄されている王子が書庫で本を読んでいる、と言うシーンは、タムドクが隠している本当の姿を暗示していて流石の小池先生演出だと思います。ダイナミックな魅せ方に眼がいくし、当然そちらが何より非凡なんですが、こういった細かい印象の積み重ねは重要ですよね。と言っても、この劇の場合展開が早くて、そんな細かい演出意図に気付いたのはDVDでなのですが。
病の床にあるヤン王@星原は、病気の演技をしながらも王の威厳があり、さすが専科。
キハ@彩音は、何を演っても同じ印象であまり好きな演技者じゃないのですが、このシーンで、王の前に跪くキハにはちょっと惚れました。結局いつまでたっても「抜擢された下級生」って雰囲気で売るキャラなのかな。

女のように軟弱な上、文字も読めない愚鈍な王子――
城壁の向こうから聞こえる密やかな囁きの意味を理解した途端、ホゲは弾かれたように飛び上がり、陰口を叩く連中をきつく懲らしめてやろうとした。
その腕を掴んで引き止めたのは、噂の王子、他ならぬタムドクだった。
「……いいんだ」
大きな瞳を細め、困ったように微笑む。その表情と向き合うとホゲは何も言えず、諦めと共に槍を放り出すと仰向けに寝転んだ。
実のところ、タムドクが揶揄にされている現場に居合わせるのは、これが初めてではない。最初の時こそ、タムドクの為に憤ったと言うのに当人が止めるものだから、次第に彼への腹立ちが勝って、取っ組み合いの喧嘩をしたものだけれど、今はタムドクが決して噂を否定しようとしない事が分かっているから、その意志を尊重してホゲも押し黙るのが常だった。
しかし釈然としない気持ちは否めず、ホゲは天を睨んだ。
大人達がもっともらしく話している話は嘘だらけだ。
タムドクは賢い子供だった。“自主練”の他は、よく書庫で物語を読んでいることをホゲは知っている。話して聞かせた城壁の外の出来事も良く覚えているものだから、彼が王宮の外に出た事がない事実を時折忘れてしまう。打てば響くように返る会話の楽しさは、他の者との会話がつまらなくなるほどだ。
――槍の腕が上達しないことだけは本当だったけれど。
ホゲに倣って槍を放り出し、寝転がったタムドクは、幼い頃と変わらず、ホゲの不出来な弟子だ。
構える姿に限って言えば一端の武人に成長したが、いざ立合うと、最後に必ず大きな隙を作ってしまうものだから、たった一度を除いて、ホゲの白星を示す小石ばかりが積み上げられている。
それでも、彼が本当は良い友であることは本当だった。
「……いいんだよ」
もう一度、タムドクが言ったので、ホゲは薄く頷きそのまま天を見上げていた。


前述の通り、原作ドラマは見てないので、あくまで花組版太王四神記からのイメージ。

役者の年齢や子役時代の身長差のこともあり、ホゲがタムドクより兄ぶって見えるのですが、要は出来の悪い弟分に優越感のような感情を持っていたのではないかなと。
だから、武道大会で一度槍の仕掛けを暴かれた後でも、あれは「まぐれ」くらいの認識で、実戦で負ける筈ないと思ってる。
でも実際は、タムドクは親友のホゲにもずっと完全な素顔は見せてなかった上に、それが見抜けていなかったホゲは、結局空回り人生なんだなぁ。

大きいテレビ+良い音響環境で見るとDVDも良いものですね。舞台では聞き取れないモブの音声までかなり入ってる事に驚きました。PCのスピーカも良いものにすべきかな。

【第3場 神器の行方】
チュシンの星の輝く夜、王妃チャピと王妹セームは共に男の子を産む。
その夜、火天会は目覚めた神器を奪うため各地を襲う。朱雀の紅玉と護り主キハは火天会に囚われてしまう。
玄武の神器を守るコムル村の護り主ヒョンゴは、火天会が立ち去った後のサビ城で黒朱雀の徴を額に持つ幼子を見付け、スジニと名付け育てることにした……

このシーンの「チュシンの星が輝く時に」の音楽が好きです。
コーラスの中で独りだけマイク音量が強いのは大神官でしょうか? 舞台ではまったく気付きませんでしたが、DVDだと突出して聞こえます。
未涼に注目して観ると、語り部としての役を果たしながら、ヒョンゴとしての演技もしているんですね。声のトーンは全然変わらないのがさすが技巧者。ホゲ誕生のシーンを、沈黙して見詰めるヒョンゴの視線に、色々感じます。
このシーンには沢山の子役が出てきますが、神器の護り主三人の子供時代、みんな美少年・美少女ですね。少年ヒョンゴ@梅咲、少年チョロ@華耀は無条件で「可愛い」と言える美少年。でも少女キハ@月野は、子役にしてはスラっとし過ぎていて10代に見えるのが難点ですね。このシーンでのキハを認識した年齢が、そのままタムドクとの年齢差になってしまうので、もっと幼く見える子を使った方が良いかな。
「マッカツの鍛冶村では、親父が白虎の神器を剣の柄から取り外し、倅に預けて逃がしていた。倅は妹を背負って走る」と言う下り、リピートしている内に、この台詞だけで泣けるようになりました。パソン@桜は、子役でなく成長後も引き続き演じているのですが、このシーンではちゃんと少女に見えるのが流石芸達者。声が凄い可愛くて、火天会に捕まったお兄ちゃんを求めて声を上げる姿だけで涙が出ます。尺があれば、パソン兄もちゃんと登場させて伏線回収して欲しかったなぁと思います。
ヒョンゴのお父さん(前村長)はヒョンスって名前だったんですね。DVDで初めて知りました。変な名前だと思ったけれど、ヒョンス→ヒョンゴで、コムルの別の民はヒョンミョンなのだから、コムルの民は「ヒョン」と付く決まりでもあるのかも。
そのコルム村の人々の中に、個人的に柚木礼音に似て見える子がいました。「コムルの民」役は12人もいて名前不明のため、立ち位置で説明すると、スジニを拾ったヒョンゴを映したシーンで、向かって右後。私は、人の顔を見分けるのが非常に苦手で、似てない人同士を「似てる」と言ったり逆もまた然りなので、DVDを持ってる方は、似てるか似ていないか客観的にチェックして下さると幸いです。
そうそう、キハが烙印を押されるシーンで、炎の幻影の演出が殆ど映ってなくて、よく分からない事になってました。この日に照明さんが失敗したのか、DVDだと照明効果が映り難いのか、どちらでしょう?
眠れ愛し子よ、と唱う三人の中で、本当に子供を真っ直ぐ愛していたのはチャピだけなのかなぁと思うと、良い歌なのですが少し空恐ろしくなります。プルキルは強奪した少女が自分の野望に役立つから「愛し子」と呼び掛けているのだし、セームは自分と息子を同一視しているような印象を受けます。
尚、チャピはタムドクを産んで三日後に亡くなったと言う事で、これが齋藤先生演出なら、原作になくても「母の面影をキハに求めるタムドク」なんてシーンを創作したと思うのですが、残念ながら小池先生はマザコンでないため、初姫の王妃姿はここで見納め。

【第4場 成長】
チュシンの星の夜に産まれた二人の少年、タムドクとヨン・ホゲは親友として育つ。
タムドクは父ヤン王から、王になる日までは「愚かでひ弱な王子」と見せ掛けて生きるよう厳命されていた……

開幕から15分で二千と十数年が経ち、まずは主人公の子役が登場。
少年タムドク@野々はいかにも子供っぽい役作りで死角なし。少年ホゲ@白華は、動きだけ観ていると意外と少年らしく好みなのですが、残念ながら声が女の子ですね。あと気合が抜けてると「いいとも!」で笑わされます。
で、騎馬隊と第三近衛隊の円陣ダンス&諍いの間に、大きく成長を遂げた二人が遂に登場。
タムドクは台詞を言ってから下手から登場し、そこで一旦キメ。一方ホゲはその後の殺陣に割って入り、0番位置で名乗ってキメ。組替え前の大劇場公演でこんな良い扱いしてもらえた事が嬉しいです。
「俺が王なら大臣になってくれ」と言ってるんですから、ホゲはタムドクを馬鹿だとは思ってないってことですよね。どこまでタムドクは素の姿を見せていたのかな?と非常に不思議に思います。少なくとも、槍の腕は自主練習中も誤摩化してた筈。
やんちゃ坊主って感じで、可愛いなぁと思います。このシーン、初見は「銀ちゃん?」と思ったけれど、もっと若いですね。それに表情が悉く明るい。二幕の人相悪いホゲと同一人物には見えません。幕間にメイクを変えてるのかな、と言う気がします。
ホゲはお兄ちゃんぶって見えますけど、実は主要登場人物で一番年下なんですよね。チュシンの星の夜の時点で、キハ(少女)>スジニ(赤子)>タムドク(夜に誕生)>ホゲ(夜明け前に誕生)なのに、花組では演じてる人の学年が完全に逆転してるので、ファンであるほど気になる年齢関係。星組版は年齢と役が比較的合致した形になるのではと期待してます。