ジェイン・オースティン作品を初読み。

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
ベネット家の次女エリザベスは、高慢な大地主ダーシーからプロポーズを受け、これを強かに拒絶する。しかしダーシーへの悪感情は彼女の偏見で、彼が実は誠実な紳士だったと分かる。また、ダーシーもエリザベスの拒絶から自身の高慢に気付き、態度を改め成長する。やがてダーシーが再びプロポーズすると、エリザベスは喜んでそれを受けた。

題名から階級差別等のお堅い話かと想像していたので、途中で恋愛小説だと分かった瞬間は殴られたような衝撃を受けました。
でもお話が面白くなったのもその辺からで、先が気になり結構良いスピードで読み切ってしまいました。特に上巻の最後から下巻への「引き」は凄いですね。原文はそのような構成になっていないと思いますが、これは文庫で読んだ時に実に巧い構成でした。
正直、下巻の途中までは、ダーシー氏が再プロポーズしても、エリザベスは家族を恥じて再び断ることになるのでは、と思っていたのですが、幸せな結末を迎えてホッとしました。

筋は単純で、出来過ぎた偶然も多いお話なのですが、このお話で重要なのは人間描写なのでしょう。登場人物の誰一人として完璧な人間はおらず、主人公エリザベス自身も、偏見と言う色眼鏡で相手を見ているため読み手に伝わる作中の人物像に影響しているのでないか、と考えるのも面白いです。
ただ、個人的にベネット夫人やコリンズ牧師は「喜劇的人物」と評されているけれど、他人への迷惑を顧みないので、見ていて愉快な気分にはなれない人物でした。
ベネット氏も、エリザベスとは仲が良いけれど、結局自分勝手な親な気がします。社会的にあまり感心されていない人物であり、特定の娘からは慕われてる、と言う点からマックス公爵とエリザベートの関係に似ていると思いましたが、如何でしょう。

尚、上記に表紙を掲載したちくま文庫で読みましたが、ある程度軽く読み易い訳で、オススメでした。

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