クリス・ダレーシー「龍のすむ家」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
不思議な陶芸家の家に下宿したデービットは、「物語を書く龍ガズークス」を与えられ、想像の中で龍と一緒に物語を書き始めた。しかし、ハッピーエンドを求めるデービットは、事実を書き写す龍を拒絶してしまう。龍は持ち主から愛されないと死んでしまう。回心したデービットはガズークスを蘇らせ、現実を受け入れ幸福に終わる終章を2人で作る。
Amazon.co.jpで、“「テメレア戦記」を買った人が購入した本”のリストにあった一冊。
正確には外伝である「グラッフェンのぼうけん」を先に読んでから、本編である「龍のすむ家」が存在していることに気付きました。
というわけで、「陶芸の龍たちが生きている」という最大のネタバレを知っている状態から読み進めることになったのでした。
でも、この1冊だけでも龍が生きている設定は読み始めて直ぐ気付きますし、この巻はそれが物語の主軸ではなく、コンカーというリスにまつわる物語がどう展開するか、が焦点でしたね。
お話は、想像していた以上に「児童書」寄りの内容です。
ハラハラドキドキの冒険が繰り広げられるわけでなく、基本的にはファンタジー世界の穏やかな日常を描いている印象。
夢中になって没頭する感じも、会った人々にお奨めして広めたいという気もしなかったけれど、デービットとガズークスが書いた「最後の章(第二稿)」には秘かに感動を受けました。
登場する人間たちはちょっと曲者揃い。特に最重要キャラであるルーシーが、聞き分けの悪い子供の面が強くて苦手です。
でも龍たちはそれを補って余りあるほど魅力的です。
イラストもとても良かったです。
とりあえず、私も創作の相談が出来る龍が一匹欲しくなりました。