ネタがなくて困ったときの再録頼り。ということで、今回も2009年にエイプリルフール限定公開したBASTARD!!サイトより再録。
PS版ゲーム「虚ろなる神々の器」3章ネタバレ有り。


 割って入った大男の姿に、あっとマカパインは叫び掛け、咄嗟にその声を飲み込んだ。口が開く事までは止められなかったが、皆の注視は氷のコロシアムにあり、動揺を悟った者はなかった。
 あれは鬼忍将である。
 しかし思い出したのはそれでなかった。
 あの日、D・Sの魔術に吹き飛ばされて会った大男――!
 印象深い巨体の背を引金に、連鎖的に前後の記憶が蘇る。それは糸を手繰り寄せるよりも早く、容易い仕事であった。
 そうして確かに自身を取り戻したマカパインが、この世界に目覚めてからの己を振り返ると、先の戦いで得た二つの指針――ヒトを超えた力と対峙し思い知らされた自身の無力。初めて気付いた守るべき世界の存在――をまた見失ったために、随分遠回りしていた愚かさを自嘲するしかない。
 ただ、主君の姿で現われた「至高王」に、魔戦将軍としての使命と敬愛を呼び起こされながらも従うことが出来なかったのは、封印された記憶が僅かなりとも抵抗した結果だろう。或いは、記憶の中に残る彼が、もう一度警告してくれていたのかも知れない。

 そして初めて、マカパインはあれが四天王の一人、忍者マスターであることを知った。


マカピーは、ガラの正体をいつ知ったのかは私の長年の疑問でした。しかし、このSSを書き上げた後にコミックス9巻を買って再読し、ガラに連れられてネイと会った時ではないか?と気付きました。

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