ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
あたまのよわいチャーリイはしじゅつを受けて天さいになりました。その結果、友人が自身を嘲笑っていたことや、己に劣る知能しか持たないことに気付き、負の感情を知って孤独になります。やがてチャーリイに手術の副作用が表れ、前と同じあほうになってしまいました。
長編版。
有名作品なので、読んでいなくても粗筋は知っていましたし、ゲーマーなので「ロマンシング サ・ガ3」のアルジャーノンなど、パロネタの方で先に触れていました。
今回ちゃんと読んでみて、文句の付けようがない名作だと思いました。
空き時間で無駄のない読書をするよう心掛けているのですが、最後の方は、本を置くことができず睡眠時間を削ってしまいました。
「知能と、幸福や心の豊かさは比例しない」という点が最大のテーマだと思いますが、その他にも多数のメッセージが込められていて、色々なことを考えさせられます。
私としては、知能が低い頃のチャーリイは、自分が笑われていることがわからず、自分に対して人々が笑うのは好意の表れだと思っているのが衝撃的でした。人は誰でも、自分の持つ物差しでしか物事を測れないものですね。
なお、チャーリイの知能レベルにあわせて文体も変化するため、最初の内は、ひらがなばかりで読点もなく誤字も交えて綴られた文章です。実は、これが今まで本作を読まなかった最大の理由でした。
読み慣れると、唯の下手な文章ではなく、話がちゃんと読み取れるようになっていて思ったほど読み難くないと分かりましたが、翻訳者は苦労されたでしょうね。名訳でした。