鎌池和馬「とある魔術の禁書目録」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
全ての「能力」を消す超能力者・上条当麻は、インデックスと名乗る少女に出会う。インデックスは、記憶を1年ごとにリセットしなければ生きられない呪いを受けていた。当麻は彼女を呪いから解き放つため能力を使うが、その際の衝撃で脳細胞が破壊され、彼が記憶を失う。

いまさら有名ライトノベルを読んでみるシリーズ、第4弾。
超科学×オカルトのバトルノベル。既刊29巻で未完と言うかなりの長編シリーズ。色々な意味で「少年ジャンプ」的なライトノベルという印象です。

麻生は「スレイヤーズ」「魔術師オーフェン」を読んで育った世代なので、異能力バトルの面白さはこの2作品が突出していると思っています。
但し、前述の2作品の主人公たちは様々な能力(術)を駆使して戦うのに対し、本作の主人公は、「能力」を無力化する「右手」1つですべて敵と対峙するシンプルさが良いのかなと思います。
舞台が近未来系のため、魔術の発動体がコピー用紙製呪符だったり、水に弱い事が判明したらラミネート加工したとか、思わず笑っちゃう下りもあるのは結構好きでした。
科学だ魔術だと言う割に、主人公の能力はどちらも超越した力なのがズルいですが、そこは主人公特権ですものね。

設定関係や展開はなかなか面白いと思ったのですが、キャラクターの行動原理が不可解でした。
なぜ当麻がインデックスにそこまで肩入れするのか、という最大のポイントが伝わらなかったのです。私としては、「一目惚れしたから」程度の理由でも別に構わないのですが、特別そう言う好意があるわけでもないみたいなんですよね。
結局、当麻がヒーロー気取りの偽善者だから、なのかなぁ。
そう考えると、私としてはラストの記憶があるフリはしない方が良かったです。そうすると、他人の呪いを解く代わりに自分がその呪いを受け、自分は満足して相手を悲しませた当麻の「偽善」が完成するので。元々、記憶を完全に失った人間が、後付けの情報で「その人」らしく振る舞うなんて無理だろうとも思います。
しかし、この1巻のオチからどうやってシリーズを始めていったんでしょうか。

文体に関しては、当て字ルビ振りや、強調したい箇所に「・」付けしているなど、少々読み難いなと思う面もありました。もっとも、スピード感があって勢い良く読めるので、そこまで気にならなかったです。
で、このお話で取り上げている「科学的根拠」は、どこまで信じて宜しいんでしょうか?

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