デイヴィッド・エディングス著「ベルガリアード物語1巻 予言の守護者」
アメリカのファンタジー小説。
世界観がしっかり構築された正統派の異世界ファンタジーで、「指輪物語」を彷彿とさせられました。解説でも「流れを汲んでいる」と述べられていて納得です。
なかなか読み止まらず、一気に読んでしまいました。旅に出てからの、追っていると同時に追われている感が面白かったです。
色々な土地や人との出逢いに、とても丁寧に細かい生活まで描写されていて、旅物語の醍醐味が詰まっています。
プロローグに神話(アーロンの書)があり、登場人物たちの正体には直ぐ検討が付きました。
読者の方が、主人公よりも世界に対して知識を持っている、ちょっと変わった構図ですね。
ただ、ガリオンは宿命を持つ主人公として無知過ぎないでしょうか?
普通の少年として育てるのは結構だけれど、いつか自分の責を果たさねばならないのなら、ポルは、その時に備えてもう少し彼を教育しておくべきだったと思うのですが……。ガリオンの無知は、必要な無知なのかな。
キャラクターの中では、シルクが気に入りました。口八丁のハッタリで渡り歩く抜け目ない男。人生を楽しんでいるような、諦めているような、複雑なところに人間味が溢れていて見事だと思います。
また、各国の王たちが、有能ではなくても決して無能ではないという匙加減が良かったです。