この『世界』の中で、彼だけが浮いている。
彼だけが『世界』から特別に選ばれ、また自らが特別である事を知っている。
――旧連載ログ「A Glance」より
久し振りのAKCキャラトークは、詩乃 ヴァレス 王蘭語りです。
詩乃は、「もう1人の白候補」という設定が決まっていたため、リートと対になるキャラクターとして誕生しました。
何事にも真っ直ぐで時に傲慢な“太陽”である詩乃と、優しさが時に曖昧な“月”であるリート。そんなイメージで描いています。
詩乃は「特別である」ことが身に付いている人物です。
実際に、彼は己の世界では選ばれた存在「エデン」の1人であり、院においては「白の候補者」であります。
けれど、実は能力的には大変平凡な人物でもあります。
そもそも、詩乃の生まれ育った世界は、少し特別なルールで構築されています。
その最たる点は、魔法などの不思議な力が存在できないということです。
たとえ「魔法使い」キャラクターがこの世界を訪れても、厳格な世界の意思により一切の力を振るえない状態になります。オムクのような“あり得ない生き物”はぬいぐるみと化し、幽霊であるヒカルは、恐らく存在を許されないでしょう。
当然、この世界の住人である詩乃も超常の力は一切扱えません。
かといって肉体的に優れていたり、知力が飛び抜けていたり、芸能面で天性の才があるわけでもありません。
結局、彼が扱える唯一の能力は、空間制御です。これは院のキャラクターならば必ず持っている能力であり、目新しいものではありません。
それでも彼が確かに特別な存在であれるのは、自負から発するスターオーラ(時に読者の皆さまから「対ラメセス用ニフラム」と言われる/笑)があるからだと思います。
証はなくても、己は特別だと知っている。そう振る舞う。その結果が後から付いてくるのが、詩乃の生き方なのです。
一歩間違えて「ただの自意識過剰の馬鹿」と皆さまに思われないよう、描き方には細心の注意を払いたいと思っています。