五十音順キャラクター・ショートショート【お】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 追い詰められた――!
 望みが断たれたことを悟った瞬間、オンベルトの膝が崩れ落ちた。
 仲間と二手に別れて以来、出口を求めて逃げ回っていたが、どうやらこのフロアの出入口は一つしかなかったらしい。
 この先に道はない。そして引き返す道は、彼自身がトラップで塞いでしまった。もっとも、その道はもう間もなく開かれるだろう。邪魔な障害物を壊そうと叩く音が迷宮中に響いている。武器も魔法も通じない、あの恐ろしい魔物が、そこに迫っているのだ。
 傷付いた身体で追いかけ回され、オンベルトはもう限界を超えていた。望みを絶たれ折れた心では、指の一本も動かすことはできない。最早、傷口から流れ出る血もなかった。先程負った火傷で塞がれたのか、或いは流し尽くしてしまったのか……
 このまま渇いて息絶えるか、魔物の爪に引き裂かれるか、どちらにせよ命運は定まった。
 だがその時、轟音を立てて壁の一角が崩れた。
「オンベルトさん!」
 そこに見知った若者たちを認め、オンベルトは震える手を伸ばした。驚いたことに、彼らは何らかの方法で溶岩を越えて来たらしい。余程急いだのか、先頭の若者の服にはまだ火が燃え残っていた。
 力強い手がオンベルトを引き上げる。しかし――
「……あ」
 立ち上がり様、若者の防具の裾と触れ合ったところから火が燃え移る。それが、オンベルトの最期だった。

オンベルトは二度死ぬ
……オンベルト(ゲーム「ベアルファレス」)


ごめんなさい、オチを付けちゃって。
未プレイの方向けに説明させて頂くと、オンベルトは、MISSION「戦士の遺言」の救出対象であるモブキャラです。
普通に攻略するだけでも、救出ルートが分かり難い、倒し方を知らないと絶対に攻撃が通らない魔物2体が迫ってくる、とかなりの難易度ですが、最大のネックはオンベルト自身の脆さ。主人公が引火して焼死、主人公がノックバックで弾いた敵で圧死、等々。2度と言わず10回以上は死を見ることになるオンベルトでした。
ちなみに、オンベルトのいるフロアは何故か岩で塞がれて密室状態になっているので、アーサーと同じ障害物系のトラップを所有していたのでは、と推測しました。

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