五十音順キャラクター・ショートショート【る】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 ルーン文字が刻まれた、古ぼけた杖だった。
「判定するぞ」
 期待と不安が互いに引き合う緊張の中、私は宣言し、魔力に満ちた壺を傾けた。その口から、紅い魔力の液体が流れ落ちる。液体の触れた箇所から杖の輝きが蘇る光景に、心が逸る。
 この魔法の液体に浸せば、あらゆるものが本来備わっていた力を取り戻す。
 私と彼は震える手で杖の表面を拭い、いまやはっきりと視認できるようになった銘を読み上げた。
「……ルーンスタッフ」
 現代では製法が失われた、伝説級の杖だ。
 危険な坑道から杖を持ち帰った友人は、感動を籠めて息を吐いた。
「念願のルーンスタッフを手に入れたぞ!」
 ほとんど同時に、私は彼に伏して願った。
「譲ってくれ、頼む」
 一瞬の間があってから、彼は私に笑いかけた。
「だめだ」
「見損なったぞ、エドワード」
 呻くような声が出た。
 勿論、発見者である彼に第一の所有権があることは認めよう。だが、坑道の入抗許可証を手配し、金欠の彼に代わって魔法の薬ルーンボトルを用意した私の助力も鑑みて貰わねばならない。
 その上、私は宮廷魔術師なのに、いまだに店売りのルビーワンドを使っているのだ。魔法大国たる我が国の威信を保つため、国民の協力を期待しても良いはずだ。
 私の訴えを彼は一蹴した。
「私の方が危険な旅をして、世界の魔術発展のために貢献しているさ」
 だが、その危険な旅の中で彼が杖に求める役割は、私が許容できることでない。
「どうせ、ただの杖として使うのだろう」
「そういう歳なんだよ」
 魔法の発動体として活用されないなら、ただの樫製ロッドで十分だ。
 しかし彼は頑なだった。
「とにかく、これは譲らない」
 そして、神話に登場する杖の名をあげて、こう約束したのだ。
「次にスターメイスを見付けたらこっちは譲ってやるさ。お古だがな」

 ――結局、スターメイスを見付けることなく彼は逝ってしまい、形見としてルーンスタッフは私の元にやって来た。
 だが、私は待っている。彼がスターメイスを見付けて帰ってくることを。それまで、この杖は預かっているだけなのだ。

ルーンスタッフは遺された
……ルーングロム(ゲーム「テイルズオブファンタジア」)


何も考えずに書いた典型のようなSSで、ごめんなさい。

ルビーワンドは過去のアルヴァニスタで販売している杖。一方、ルーンスタッフは過去のモーリア坑道B10で宝箱から入手可能。攻撃力が倍以上違います。
未来のアルヴァニスタではルーンスタッフより2.5倍強い「ホーリィスタッフ」を販売中。この後、ルーングロムの下でルーンスタッフの研究開発が進み、ホーリィスタッフ開発に寄与したのだと勝手に宣っておきます。
なお、ルーンスタッフの次に手に入る杖はユニコーンホーンですが、エドワード・D・モリスンは清らかな乙女じゃないので最初から狙っていません(笑)。
スターメイスは、未来世界のダオス城の宝箱から入手可能。エドワードが入手するには、クレス一行に入れて貰うしかありませんね。

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