松尾清貴著「偏差値70の野球部」-難関合格編-

【あらすじ】
天才野球少年の新は、中学校で不慮の暴力事件を起こしてしまう。それでも野球の名門校・海鵬を目指して一般受験するが、合格した学校は進学校・海應の間違いだった。

タイトルに惹かれて読んでみました。
ところが、1巻では表題の「偏差値70の野球部」の活動が始まらなかったのです。偏差値70を謳うに相応しい頭脳派野球は、今後に期待でしょうか。
ただ、肝心の顧問とキャプテンの野球理論が、私の好みとは真逆です。
高校野球は条件が特殊なので、「絶対に打たれないピッチャー」がいれば試合に勝つ可能性はあるけど、それを受ける最低限レベルのキャッチャーと、1点を獲る打撃力のある選手は必要です。第一、どんな名ピッチャーだって全打席を空振り三振にはできませんから、エラーしない守備力も必要。しかし海應高校野球部には、どちらも備わっていないのだから、新がいても意味がないのでは、と思います。

設定は、荒唐無稽。
「カイホウ」と「カイオウ」を聞き間違える可能性は否定できないけれど、普通漢字を見て気付きますよね。学校まで行けば門に校名があるだろうし、ユニフォームにももちろん書かれているはず。
大体、高校受験の問題は学校裁量なので、いくら勉強をしたとしても、目標とする学校が違えば、出題傾向や深度が違ってお話にならないと思います。
主人公がバカだから、という理屈で納得するしかないのが残念です。

その「バカな主人公」は、一人称で書かれているため、比較的感情移入しやすいです。中学校の暗黒時代には泣きそうになりました。
高校の寮で同室になった佐久間も、なかなか面白いキャラクター。
しかし、他のキャラクターは主人公との間に会話が成立しないので、読んでいてストレスが溜まりました。

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