田中芳樹著「ラインの虜囚」
【あらすじ】
1830年、カナダ生まれの少女コリンヌは、パリで祖父の老伯爵から「ライン河にある双角獣の塔に幽閉されている人物の正体を調べよ」と言い渡される。コリンヌと仲間たちは悪党たちの妨害を受けながらも、遂に虜囚の下に辿り着くのだが——
古い翻訳モノの児童文学を読み返しているような時間を過ごせます。
悪く言えば、どこかで読んだような手垢のついた物語なのですが、細部まで丁寧に描かれているので、世界観をしっかり楽しむことができます。
中盤まで「塔の人物は誰か」という謎で引っ張って行くのですが、実はその正体には拍子抜けしました。しかし、最後のどんでん返しこそで相殺されました。
コリンヌと共に旅をする、“女にだらしない3人の仲間たち”が魅力的です。
エピローグでは、彼らのその後が史実として描かれるのですが、コリンヌもそのように描かれていたので驚きました。実在した人物なのでしょうか。参考図書を全部当たって調べろ!ということなのかなぁ。