ジェフリー・アーチャー著・永井淳訳「百万ドルをとり返せ!」
【あらすじ】
石油開発への投資詐欺に騙され破産した数学教授スティーブンは、同じ境遇の男たち3人を集め、首謀者であるアメリカの大富豪ハーヴェイから投資金額を取り戻す計画を立てる。
テンポ良く小粋な作品。
前半は金融的な話やハーヴェイが成り上がる迄の経緯で、本題が見えず少々退屈。騙された4人が集まったところからグングン面白くなりました。計画が巧く決まりすぎる感はありますが、お話として許容できる範囲です。
犯罪小説ではありますが、お互いに騙し合っているという要素と、作中でスティーブンが何度も言う通り「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく(Not A Penny More, Not A Penny Less)」取り返そうという趣旨、そして最後に待っている痛快なオチの御陰で、とても爽やかでした。
なお、あらすじを書くとなると、スティーブンの視点で纏めるのが一番簡単だったのですが、物語の流れから考えると、主人公は騙されたメンバーの1人である貴族青年ジェイムズかな、と思います。
最初はバラバラな4人が、計画を通じて段々親密になっていく関係性の変化も良かったです。