アイザック・アシモフ著 小梨直訳「小悪魔アザゼル18の物語」
【あらすじ】
ジョージと悪魔アザゼルは、知人の悩み事を魔法で解決していくが、助けられた知人たちはなぜか必ず悪い結果を迎えてしまうのだった。
初のアイザック・アシモフ作品。
タイトル通り18の短編が収められている本ですが、なんと全短編のプロットは同じです。悩みと解決方法、そして結末という「小さな親切、大きなお世話」のネタだけで勝負しています。
ちなみに、前書きでアシモフが語っている、この作品が一冊にまとまるまでの顛末が面白いです。
アシモフ本人も危惧している通り、語り手のジョージを受け入れられるかどうかが、評価の分かれ目だと思います。個人的には、聴き手を貶めるジョージの性悪さがどうも好かなかったので残念でした。
その一方、ジョージが語る話の中に登場する、体長2cmしかない悪魔のアザゼルは、非常に良い味を出しています。周囲から無視されている知人の話を、自分の身とダブらせて泣いてしまうエピソード(理の当然)など、悪魔なのか天使なのか、本当に可愛い奴です。