井上堅二著「バカとテストと召喚獣」
【あらすじ】
文月高校では、学力別にクラスが振り分けられる。上位の学力保持者ながら、体調不良で試験を棄権したため、卓袱台と腐った畳が教室という最下位Fクラスに振り分けられた美少女瑞希のため、学年一バカの明久は、上位クラスから教室設備を奪う「試召戦争」を始める。
久し振りの、いまさら有名ライトノベルを読んでみるシリーズ。
本作は、第8回えんため大賞編集部特別賞受賞作。
お話自体は予定調和で進み、オチも割と視えていましたが、学園物+バトル物という鉄板設定に、戦闘力=テストの点数という分かりやすさと、それをひっくり返す戦術(主に多対一と特定教科での奇襲)が面白いです。
なにより、ライトノベルならではのノリとテンポが楽しめました。
タイトルで「バカ」と言っているだけあって、登場人物は全員バカです。成績上位者も「ある意味バカ」だと思いました。
……「バカ」だと連発していますが、私はバカキャラが好きです。
ただ、主人公・明久が本当にバカであることにビックリしました。普通の主人公にありがちな“バカと言われつつも一芸に秀でている”という要素はありません。悪い奴ではないのですが、バカすぎて、女の子たちにモテるのが不思議でした。
個人的には、ムッツリーニ(土屋康太)のキャラクターが一番気に入りました。章の合間に挿入されている試験と回答で、瑞希の模範解答、明久とムッツリーニの珍回答の3種が並べられているのですが、下記の回答に脱帽したためです。
問 以下の文章の( )に正しい言葉を入れなさい。
『光は波であって、( )である』
土屋康太の答え
『寄せては返すの』
バカ過ぎる(笑)。
また、回答に対する先生方のコメントがノリノリで、こんな学校だったら楽しいんじゃないかな、と思いました。