岩井恭平著「サマーウォーズ」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
憧れの先輩・夏希に頼まれ田舎に同行した健二。ところが、その夜メールに届いた謎の暗号文を解いて返信したところ、送信主であるハッキングAI「ラブマシーン」が全世界で活用されているネットワークOZを乗っ取ってしまった。人工衛星を原子炉に落とそうとするラブマシーンを倒すため、健二は夏希と親戚一同と共に立ち上がりOZを奪い返す。
とてもしっかりした「ノベライズ」だと思います。
といっても原作アニメ映画は見ていないのですが、コマ割りが想像できるような描写でした。まぁ、逆に描写の細かさがうるさく感じたところもありますが、全体的には分かりやすくて良かったです。
もっとも、OZと現実が二重写しに感じられる部分は、映像としては良くても、実際は端末の中の画面でしかないと思うと、演出過多のような気もするかな。
主人公・健二は、情けないところもあるけれど、「数学に強い」という唯一の武器を最後までちゃんと使って戦い続けるので、次第に応援したくなります。
逆に、ヒロインである夏希は、少し身勝手だし、恋人がいるふりを本気でするつもりだとしたら健二に事情を説明をせず連れてくるのも理解できず、魅力を感じられませんでした。
大おばあちゃん・栄は中盤で亡くなってしまうんですね。ちょっと衝撃的でした。
キング・カズマと、彼を操る佳主馬少年は、あれこれ言っては失礼なくらい格好良かったです。
内容的には、バーチャル世界を舞台にAIと対決するお話ながら、人間同士の生の触れ合いが大切だと語っているんですね。未来世界だけれど、どこか昭和の雰囲気もあり、暖かさを感じました。