鏡明著「不確定世界の探偵物語」
不得意なSF且つミステリー系ですが、下記の裏表紙あらすじに購入意欲を掻き立てられて読みました。
ただ一人の富豪が所有する、この世に一台きりのタイムマシンが世界を変えてしまった。過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ。おれは私立探偵。だが、常に歴史が変わる──現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう。そのおれが、ある日、当の富豪に雇われた。奴は何者?
裏表紙より引用
8つの短編連作構成。
読み進めるほど、タイムマシンによって常時変わる不安定な世界の気味の悪さと、それでも人々の生活が成り立ってしまっている逞しさに感心しました。
はっきり言えば、設定部分が最も評価点で、各話自体はさほど面白くないと思ったのですが、7話の結末と、そこから8話への転落、そしてオチは凄いと思いました。作者自身も、きっとここを書きたかったのではないでしょうか。
しかし、そこに行き着くまでが結構大変な読書ではありました。
主人公ノーマンは、割と三枚目で頼りないのですが、時々凄く格好良かったです。
これが、ハードボイルド小説というものなんでしょうね。