渡航著「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」1巻
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【あらすじ】
高二病を拗らせ「ぼっち」を堪能する男子高校生・八幡は、生活指導として生徒間の悩みを解決する「奉仕部」に入部させられる。部長である学年一の美少女・雪乃を始めとする生徒達と関わりながら、謳歌しない青春の日々を過ごす。
通称「俺がいる」。
スペックは割と高いのに、友達がおらずスクールカースト底辺の主人公という設定から、同じガガガ文庫の「AURA」を思い出しましたが、方向性は逆。「AURA」は主人公が群れに入ろうとしようとしているのに対し、「俺がいる」は現在進行形で「高二病」を煩っているせいで、群れることを悪とし、ぼっちを至高とする思想を持っている点が面白いです。
と言っても、八幡が最初からぼっちを望んで貫いているわけではなく、周囲から省かれている内に、ぼっちな自分を肯定するという術を見出しただけなのは分かります。
ただ、友達を作れそうな状況でも、敢えてぼっちを貫く八幡の強さには感心します。期待しないことで身を守るという選択肢は、現代的ですね。後ろ向きだけれど、非常に力強く、結構共感します。
それでもエピソードは青春小説的で、斜に構えている割になかなか熱い要素もあるのでした。
しかし、これは現代高校生の話の筈なのに、ネタが若干古いので、作者の年代が分かるな、と思いました。
佐々木良