桜坂洋著「All You Need Is Kill」

【あらすじ】
初陣で戦死したキリヤ・ケイジは、次の瞬間、出撃前日に戻っていた。以来、出撃と戦死を繰り返すループに巻き込まれたキリヤは、絶望的な戦いに勝利するため自らの精神を鍛えていく――

映画未見。
ストーリーは、かなり改変されているみたいですね。

一言でまとめると、非常にゲーム的な小説でした。
PSゲーム「高機動幻想ガンパレード・マーチ」から影響を受けて書き上げた作品だと聞いて、納得。人類の敵とパワードスーツを着た兵士が戦っていて、戦況は人類劣勢という世界観までは特殊でないけれど、そこにループが関わっている上、リタの言動が芝村舞を彷彿とさせましたし、一人でも戦う覚悟を持った人類の救世主たる二人は実に「芝村的」でした。ヨナバルには、滝川の「アルガナ勲章」イベントを思わせる下りもありましたね。
なお、「ガンパレード・マーチ」の影響は作者が明言していたそうですし、その結果できた作品が面白ければ構わないと私は思います。

ループ物の場合「なぜループするのか」という設定作りがポイントだと思います。
その設定が、単なる手段としての設定に終わらず、物語全体の結末に繋がっている点が良かったです。
特に、この作品におけるループ設定の肝は、敵もループしている(正確には、敵の方がループしていて、主人公とヒロインはそれに便乗している)という点だと思います。
それゆえ、次の周では敵も違う行動を取ってくる、というところがなかなか新鮮でした。

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