伊集院静著「二日酔い主義傑作選 銀座の花売り娘」

本当に? と驚くような若き日の生活を描くエッセイです。
直木賞作家は、受賞後は新聞小説等で仕事が絶えず、裕福なイメージがありましたが、これだけ使う方も激しければ金欠でも奇怪しくありませんわ。
心の底まで赤裸々に語る姿勢は、偽悪的でもあるし自虐的でもあるし、そう言いつつ改める気もないようなので、作家とは自分の人生を売り物にするものなんだな、と思います。

北杜夫著「さびしい乞食」「さびしい姫君」

2015年3月7日記事で感想を書いた「さびしい王様」の続刊。
6つの前書きから物語に導かれ、語り終わった後に6つの後書きで作者の述懐を聞く、というスタイルに慣れたのか、「王様」より素直に楽しめました。
「乞食」は、ストン王国という架空の国から舞台がアメリカに移り、荒唐無稽な面はあっても、キャラクターの考えが理解・共感できたのが大きいと思います。
「姫君」は、9才のローラ姫が主人公ですが、女子はしっかりしていますね。結末が大団円ということもありますが、境遇の割に結構うまいこと人に縋って生きているので、あまり「さびしい」という印象は受けませんでした。

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