ロダーリ著 関口英子訳「猫とともに去りぬ」
タイトルを目にした時点では、「高慢と偏見」に対する「高慢と偏見とゾンビ」のように、「風とともに去りぬ」のパロディ長編なのかと思っていたのですが、実際はファンタジックな短編集でした。
全16編。
著者ジャンニ・ロダーリは、国際アンデルセン賞も受賞している児童文学作家ですが、本書は全体的にシュールすぎて、子供に読ませたいとは思いません。どちらかと言うと大人向けな気がします。
表題作にして最初に収録されている「猫とともに去りぬ」は、比較的柔らかいオチを迎えるのですが、それ以降の作品は私が不得意な「皮肉が効いたユーモア」なので、反応に悩みました。さすが、イタリア人作家……。なにかの比喩だとか考えずに、そのまま読んでシュールさを楽しむべきなのか、もう少し頭を働かせた方が良いのか、理解するには難し過ぎました。でも、ファンタジックな出来事を断定的に描く表現は面白いし、発想力には脱帽します。
「ピアノ・ビルと消えたかかし」で、最後にシューベルトのアヴェ・マリアを弾くことを拒む理由が分からなかったので、どなたか教えてください。単にバッハに傾倒しているから?