アントニー・マン著 玉木亨訳「フランクを始末するには」

奇妙な味わいの短編12編。

会話はウィットが効いていて、サクッと読みやすいけれど、激しく癖のある作品揃い。
ブラックジョークというべきなのでしょうか。煙に巻かれるようなお話はあるし、各主人公を筆頭とする登場人物も、私には合わない感じでした。
とはいえ、つまらないわけでもなく、表題作などは意外な展開で面白かったです。
一番面白かったのは、チェス王者を目指す若者が、強くなる為に父親を憎むよう指示され、それに従う「エディプス・コンプレックスの変種」かな。
犯罪や損傷を仄めかすような内容も多く、「ビリーとカッターとキャデラック」は、だいたい想像していた通りのオチでしたが、それでもゾッとしました。

地味に良いと思った点は、扉にオリジナルタイトル(英語)も記載されていることです。翻訳物の短編は、すべてこの処置をしてくれても良いと思います。……といっても、スワヒリ語だとかだったら読めないので不要ですが。

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