犬の眼が見えなくなった、らしいです。
らしいと言うのは、本人がそう宣言してくれる訳ではありませんから、医師の見立てです。
散歩中に真っ直ぐ電柱に向かって行って正面衝突したのを皮切りに、あっちへゴチン、こっちでゴチン、とぶつかることが多くて、冷や冷やさせられます。
実は、最近眼がクリッとして可愛くなったと思っていたのですが、視力が落ちた分、瞳孔を開いて補っているのかも知れません。知らぬとは言え不謹慎な愛で方だったと反省しました。
刹は不愉快を隠さず表したが、彼は解さず少年の大きな瞳を覗き込み、仕舞いにこう言った。
「片方しか使わないから、眼が大きくなったんですね」
人の子の成長に感嘆し頷く彼の後ろで、猫眼の青年が弾けるように笑った。
と言いつつこんなネタを書く辺り、真摯じゃありませんね、私は……。
ちなみに、ルクティ先生は天然ではなく、不思議ちゃんだと思います。